記憶の欠片と高級食材04
「何か、凄いよねぇ。この河、ずっと昔からあるんでしょ?景色が壮大って言うか、荘厳だよね。」
向こう岸が見えない程の川幅で、目の前に大河ハディスンは横たわっていた。
悠希と雛は、さっきから横でカワザリの螯を数えている。
「唯、お前も暇なら手伝えよ。」
「嫌だよ。私の分の150は、もう双児宮と数えたじゃん。」
文句を言ってきた悠希に、私はキッパリ言い返した。
私は星ノ魔法の双児宮を使って、カワザリの螯を10ごとに纏めてもらったの。彼の者達の中で、唯一召喚出来る人形だからね。
「そうね。御門さんは200、数え終えたのかしら。私は今、終わったわよ?」
そう言いながら雛が、自分の分である150のカワザリの螯を指し示す。
さすが性格というか、綺麗に10ごとに束になっていた。
私の場合は、山にしてあるだけ。
「マジかよ…。ま、待ってろよっ!」
大慌てで、残りのカワザリの螯を数え始める悠希。
彼の正義に、人を待たせるのは反しないのだろうか。
「もう、遅いんだからぁ。口よりも、手を動かしてほしいよね~。…雛?」
文句を言われた事もあり、少しだけ嫌味を返す。けど、視線を向けた雛の様子がおかしい。
河の上流の方をじっと見つめている。
「あ…ごめんなさい、唯。呼んだかしら。」
「うん。どうかしたの?あっちに何かあった?」
私の視線に気付いたのか、雛は小首を傾げた。
彼女の見ていた方向は、現時点での目的地の筈。
「えぇ。でも、この話は後でね。」
ニッコリと微笑み返してくる雛の様子に、私は世界の欠片がらみなのだと察する。
そう。今は話せない事、なのだよ。
「終わった~っ。」
漸く、悠希がカワザリの螯を数え終えた。
「一つ一つ数えてるから、途中で分からなくなっちゃうんだよ。真面目なんだか、融通が利かないんだかだねぇ。」
「うっせぇ、悪いかよ。だいたい、魔法で数えた唯には言われたくないぜ。」
討伐アイテムをマジックバックに収納しつつ、悠希と軽口の応酬。
本気で言い合っている訳じゃないからか、雛は笑顔で見守っているだけのようだ。
「よ~し!討伐依頼は、これで完了っ。少し休憩しようぜ。障壁ノ魔法、絶対防御。」
そして悠希は、私達三人を取り囲む結界を作り出す。
雛とのやり取り、聞こえてたのかな?




