記憶の欠片と高級食材02
私は最後にお汁を飲み干し、満面の笑顔を浮かべていた。
「…それで、今回は何を見たのかしら。」
食事を終え、口元を布巾で拭きながら、雛が問い掛けてくる。
「ふえ?…あ、さっきの?」
間抜けな返答をしてしまった私だけど、雛の質問の意味に行き着く。
食事中に、また例の心眼が発動してしまったのだ。
確か…と、私はその時を思い返す。
白昼夢のように現れる心眼は、意識していないと忘れてしまう事もある。
あまりにも自然に、私の中で世界が広がるからだと思う。
「えっとね…、鳥だった。」
「はあ?」
私の言葉に返された第一声は、悠希のそんな声だった。
「もう、まだ話始めたばっかなんだからっ。」
即座に話の腰を折られ、私は憤慨しながら唇を尖らせる。
だがそんな唇も、瞬時に悠希に摘ままれた。
「そんな顔してると、アヒルになるぞ?」
楽しそうに笑いながら、いつもの台詞を返す悠希。
「だから、本当にアヒルになっちゃうじゃんっ。」
唇はすぐに解放されたものの、私は半分涙目で訴える。
「ははははっ。」
「御門さん、話が続かないわ。唯、続きをどうぞ。」
からかって笑う悠希に、静かに雛が告げた。
うん。静かな指摘は、時に怖いよね。
すぐに口を閉ざして、真面目な顔をする悠希。
私の怒りはまだ収まらなかったけど、雛が話を聞く場を用意してくれているのは判った。
「うん。あのね…。」
「あ、ちょい、待ち。障壁ノ魔法…絶対防御。」
漸く話そうとした私だったけど、すぐに悠希に止められる。
彼は小さな声で魔法を唱え、お店の中なのに、私達テーブルだけを結界で囲ったのだ。
「だ、大丈夫なの?」
「問題ないさ。とりあえず、旧世界関連の情報は極秘って言ったろ?」
不安に駆られた私が問うも、悠希はケロリとして答える。
何が大丈夫なのか、サッパリだよ。
でも、誰に聞かれるとも分からないからね。
慎重すぎるくらいがちょうど良いんだっけ。
「えっとねぇ。あ、飛んでいたのは言ったけど、何処だと思う?」
「だから、それを聞いてるんだろ?っか、人だけじゃないのかよ。心眼が発動するのって、動物なんでもあり?」
私の問いはすぐさま流され、悠希が僅かに眉根を寄せる。
あ、それもそうだよね。
今まであったっけ?




