訪問者03
「あっ、ちょっと待って~っ!」
カボチャさんは慌てたように両手を突き出し、悠希の背に触れようとする。
だが、それが叶う事はなかった。
悠希が、手にしていた剣を突き付けたから。
「…不用意に近付くなよ。俺はお前を信用していない。」
今まで聞いた事のない、とても低く冷たい声だった。
視線を向ける事なく、悠希の剣はカボチャさんの首元にある。
「…わ、分かったから…、ご、ごめん…なさい…。」
即座に両手を上に上げ、ガクガクとカボチャ頭を縦に振るっている。
でも、悠希が本当に相手を射るつもりがなくて、本当に良かった。
こんなところで出血大サービスなんて、冗談じゃないもん。
「行こうぜ。」
そのまま剣を引いた悠希は、カボチャさんを見る事なく背を向ける。
私は雛と顔を合わせ、とりあえず彼の後に続く事にした。
まぁ、今回の目標である、一つの欠片はゲットした事だし?
「…唯。後ろ…。」
小さな声で、雛が告げる。
「ん?」
私は雛に視線を向けるつもりで首を動かし、ハッとした。
何故なら、さっきのカボチャ頭さんが、全身で何かを表現していたから。
「何だよ、雛乃。…唯。あぁいう変なのには、関わりを持たない方が利口だぞ?」
立ち止まった私達を気にしたのか、悠希も振り返ったようだ。
そして保護者のような言葉を続けている。
いやいや、これは聞かなかった事にしよう。
「違うよ、悠希。多分あれ、世界の欠片のヒントだよ。」
私は再度振り返り、悠希に告げる。
彼は旧世界の知識はないから、この場合は分からなくて正しい。
だって、知らない人が見たらあれ、何のジェスチャーだか分からないもの。
そう。カボチャ頭さんは真っ直ぐ立ち、その右手を何か持っている様に握って、天へと掲げていたのだ。
勿論左手は、胸の辺りで何かを抱えるように、掌を内に向けている。
「…女神?」
「うん、私もそう思う。」
雛の言葉に、即首肯する。
自由の女神像は、旧アメリカの民主主義および世界的な自由の象徴だった。
「何だよ、女神って。あのカボチャの事じゃないだろ?」
胡乱な視線を向けてくる悠希。
そんなの、当たり前じゃないか。
「旧世界の歴史的建造物、自由の女神だよ。確か、台座をふくめて90m以上はあった筈だよ。」
「マジか…。で、あんな格好をしてるのか?」
私がサイズ告げると、悠希は驚いたように目を見開く。
確かに純粋な建物でもないのにって事もあって、この世界では見掛けない大きさだよね。




