訪問者02
「何よぉ…。そこの女の子に話し掛けてるのにぃ。」
不満気にボヤかれる。
いやいや、ちょっと待て。
まずは、自分の格好から気にしてみようか。
「俺は彼女達を守る義務がある。カボチャなんかにまともな応対なんぞ、出来るかよ。」
吐き捨てるように悠希が言い放った。
まぁ、正論だよね。
義務かどうかは、置いておいても。
「ナイト君は、今はお呼びじゃないんだけどねぇ。でもこの仮面には、海よりも深い事情があってだねぇ…。って事で、許してくれない?」
カボチャ頭が小首を傾げる。
海よりも深い事情って言うのが、逆に気になるよ。
しかもその仮面で首を傾げたって…、可愛くない。
だって、カボチャ頭だよ?ハロウィンかっての!
あ、これは旧世界の知識だね。
「バッカじゃね?そんな道理が通るなら、魔征軍とかいらねぇっての。」
新たに一歩近付かれ、とうとう悠希が抜刀した。
カボチャ頭さん…。それ以上は接近しない方が良いのではないでしょうか?
「う~ん、いけずぅ~。せっかく、古代観光名所を教えてあげようと思ったのにぃ。」
しなをつくって見せるカボチャ。
けどそれ、不気味さが増すだけだから。
「古代観光名所って何だよ。」
抜刀した剣を納める事なく、悠希はカボチャに問う。
「古代ってのはぁ、あれだよ。あちらこちらにあるじゃん?何でか知らないけど、この世界観とは少し違う感じの建造物~。」
崩れ落ちた凱旋門を指差しつつ、自らのカボチャ頭をユラユラと揺らした。
私は雛に視線を向ける。同じタイミングで雛も私を見たようで、パチリと合わさる瞳。
勿論この場では何も話さないものの、私達の思いは同じだろう。
このカボチャ、何を知っている?
「…それだけじゃ、分からないな。だいたい、そんな曖昧な情報で俺等をつろうなんざ、考えの甘さが露見するだけってもんだぜ。」
わざとらしく鼻で笑う悠希。
こういう時の彼は、本当に悪人っぽい。
正義を謳う悠希らしからぬ、でも駆け引きなんだろうなって思えるところ。
「そんなぁ~。別にあたしは…、あれだよ。」
カボチャは言い淀んだ風に、一度口をつぐんだ。
けど、あたしって言ったよ?
特殊な嗜好の男の子って線はまだ消えないけど、ほぼ女の子じゃない?
「さっきから、あれって。そんな不特定多数を指し示す言葉なんか、要らねぇって言ってんの。ほら、もうこんなカボチャなんか放っといて、行こうぜ?」
悠希が軽く頭を振り、私達に声を掛けた。
確かにこんなやり取りを続けたところで、仕方ないとも思えるよね。




