潔(いさぎよ)い降参05
「何言ってんの、キミ。僕は潔く降参したでしょ。今更何さ。」
手元はそのままに、自称バーニーは視線を鋭くする。
「降参はした。解放を条件に、情報ももらった。」
「それなら問題ないじゃん?」
けど、悠希は引かない。
「でも問題が出た。」
「何でっ?」
「彼女達が、このままでは怖いと訴えかけてきている。」
感情なく答える悠希は、そう言いながら後方にいる私達を軽く親指で示す。
ん?何言ってんの、悠希。
私、怖いなんて一言も言ってないじゃん。
思わず足を踏み出しそうになった私だったけど、ツンと後ろから袖口を引かれた。
「ダメよ、唯。」
雛のニッコリ笑顔で留められ、このままで良いのだと告げられる。
何となく腑に落ちないけど、雛の言う事はいつも正しい。
「……分かった。」
不満が顔に出て、意識せずとも唇を尖らせてしまった。
「ほら。そんな顔をしていたら、また御門さんに摘ままれるわよ?」
「っ?!」
やんわりと告げる雛。
そりゃ、思わず唇を両手で塞いで振り向いちゃったよ。
だ、大丈夫。
悠希はまだ自称バーニーと一緒にいるし、私のこれにも気付いてないようだ。
「で、どうせだから希望を聞こうと思って。」
悠希の声が届く。
どうやら、まだ自称バーニーと交渉中らしい。
「しかし…それならば僕は、女の子達の誤解を解かなければ…。」
「物凄い銃撃をしてきた相手に?明らかに俺がいなければ…っていうか、防御しなければ当たってたよな。」
自分が怖がられていると聞いた自称バーニーの反応は変だったが、この場合は悠希の意見が正しい。
あのガトリング砲を私達にも向けたのは、明確な殺意ととられて然り。
あいにくと悠希の防御が完璧だったから無傷なだけで、並みの障壁じゃ皆揃って蜂の巣だ。
「……………………それもそうか。」
酷く返答までの時間を要した自称バーニー。
間が長いわっ。
そこまで考えなくても分かるでしょ、普通。
大声で突っ込みたくなった私は、ポンと肩に置かれた雛の手で、堪忍袋の尾が切れるのを紙一重で留めた。
「分かったよ。それでは、この近くの町までお願いしたいのだが。…ちなみに、それは安全なのかい?」
渋々といった様子であったものの、自称バーニーは悠希の提案にのる。
「まぁ………、それなりにな。死にはしないさ。」
僅かに言葉を濁しながらも、悠希は結構酷い答えを返していた。
それで良いの?




