潔(いさぎよ)い降参01
カチッ、カチッ…。
空しい空発の音が響く。
「…はぁ…、終わっちゃった。」
他人事のように呟く自称バーニー。
いやいや、自分の手持ち武器の事だよね?
私は、そこで思わず突っ込みたくなるのを我慢した。
「どうすんの?」
悠希が余裕の表情を向けている。
それにしても、汗一つかいてないなんて、本当にどうなってるんだろ。
「うん、僕の攻撃手段は皆無。終わりだ。肉弾戦なんて無理だし、そもそも魔法使いに素手で挑むほどバカじゃない。降参だ。もう僕の負けで良いや。」
清々しい程の笑顔をみせる自称バーニー。
っていうか、降参ってあり?
本当に銃弾が尽きたらしく、自称バーニーは両手に持っていた銃を地面に落とした。
「オーケー、負けを認めるんだな。けど、ただで解放されると思うなよ?」
手にしていた細身の刀を肩に背負うように遊ばせつつ、悠希はゆっくりと自称バーニーに歩み寄る。
そして何をするかと思ったら、自称バーニーの足下の銃を蹴り飛ばした。
うん。近くにあると、それだけで危険だもんね。
そうされても自称バーニーは抵抗の一つもせず、素直に両手を頭の後ろに組む。
どうやらこれで、完全降伏となるようだ。
「そうだねぇ…。情報を一つ、公開しよう。」
「…何だよ。内容によるな?」
何故か笑みを浮かべている自称バーニーだった。
悠希は警戒しつつも、主導権の主張をしている。
「光の欠片の使い道。」
自称バーニーの言葉に、無意識に私の身体が反応した。
知っている事を伏せておかないとならないのに、思わず世界の欠片を指していると気付いてしまったんだよね。
「…ふぅん?まぁ、聞いてやらない事もないな。」
「冗談だろう?そこの女の子が、とても興味深そうに話を聞いているじゃないか。」
上から目線の返答をした悠希だったが、自称バーニーは私の反応に気付いていた。
ごめん、悠希。
交渉の邪魔をしちゃったよ。
「そっか?まぁ…彼女が聞きたいんなら、それで妥協してやるよ。」
チラリと悠希から視線を向けられ、私は思わず苦笑いしていまう。
けど怒る事なく、悠希は私に笑顔まで見せたのだ。
うん、人間が出来てるね。
「交渉成立だよ。」
そして握手の為、手を差し出す自称バーニー。
「オーケー。けど、不用意に他者へ触れる趣味はないんだ。しかも男だし。それじゃ早速、情報公開といこうか。」
だが悠希はそれに触れる事なく、首を竦めるだけだった。
まぁ確かに、一瞬前まで敵だった相手だもんね。
そう簡単に気を抜いて接する事なんか、なかなか出来ない。
…私ならやっちゃいそうだけど。




