科学武器05
もう、何が何だか分からなかった。
ただ私と雛は、その場に立ち尽くしていただけ。
でも事態は刻一刻と変化していて、気付いた時には既に終わっていたって感じ。
「……何、どうなったの?」
思わず、誰ともなく問い掛ける。
勿論、答えが返ってくるなんて期待、全くしてなかったんだけどね。
「御門さんが、科学者からの銃弾を全て切り落としたのよ。」
私のすぐ横からの言葉に、唖然としながら振り返る。
内容も内容だったけど…思わぬ方向からの返答で、咄嗟に顔が作れずお間抜けになっちゃったよ。
「雛……えっ?…あれ、見えたの?」
無意識の動作で悠希を指しながら、それでも私は聞かずにはいられなかった。
っていうか、何がどうやって発砲された銃弾を切り捨てられるってのよ!
「全部ではないけれど、御門さんが細身の刀で断つ姿は確認したわ?あぁ、ほら。彼の足下に、分割された弾頭が散らばっているから。」
雛は冷静だった。
つまり、ただ立ち尽くしていたのは私だけって事らしい。
「さすが、回転式拳銃の使い手なだけはあるね。残念だけど、私は全く分からなかったよ。」
自嘲気味に笑ってみせる私。
でも、雛はゆっくりと首を横に振った。
「私の場合は風の力も借りての知覚だから、唯と比べるのは違うかしら。それにしても御門さんの剣術、早いわよ?」
そして雛は、視線を悠希へ向ける。
つられるように私も悠希を見るが、剣術の早さはハッキリ言って分からなかった。
手元が消えただけで、次の瞬間にはカラカラと地面に散らばる何かの音。視線を彼の足下に送り、漸くそれが弾頭の欠片だと分かる。
辺りの空気を銃声と硝煙が支配する中にいて、その中で悠希はそれに染まっていない。
二丁の銃身を両手に構えた自称バーニーの表情が、明らかに悪くなっていた。
まぁ、分からなくもないんだけどね。
だって、人間業じゃないもん。飛んでくる弾頭を日本刀で割るなんて、何処の漫画よ。
…あ、旧世界の文化にあった創作の絵物語の事ね。
今の世界じゃ、生きるのに精一杯だから、そういった娯楽はごく一部の富豪層にしか流行ってないの。
って事はさておき、本当に悠希ってば、何者なんだろ。
魔法も剣術も、年齢を考えるとチートすぎない?
あ、チート?これも旧世界の文化だった。
えっと…、ズルい?規格外?
と、とにかく…今は私と雛の味方なんだから、強いに越したことはないんだよね?




