科学武器03
カチッ、カチッ…。
静まり返った中で、間抜けにも幾度かの機械音が聞こえた。
いやいや、正確には私の耳はバカになっていて、耳鳴りしか聞こえなかったんだけどね。
音って、本当に空気を響かせるんだね。
「…いや~…、マジ、うるさかったぁ。」
気の抜けたような声が、私の前方から聞こえた。
うん、悠希だ。
いつの間にか伏せていた顔をノロノロとあげ、私達を背に囲うような形で立ち尽くしている彼を確認する。
っていうか、本当に何もなかったかのように立っているよ。
「は…っ、冗談…だよね…?え…っ?」
そのもっと先に立っている人物が、唖然と目を見開いたまま、開いた口すら塞げないでいた。
隣に立っている棒人間は、煙を上げた頭頂部をこちらに向けたまま沈黙している。
自称バーニー、完全敗北か。
「それで。…もう終わり?」
人が悪いのか、ニッコリ笑顔を自称バーニーに向けた悠希。
未だにバチバチと電気を帯びている彼の肉体も服も、全くと言って程に損傷は見受けられない。
あの放雷っていう魔法、半端ないようだ。
「お、お前…人間か?」
「失礼だなぁ。正真正銘、ヒトだよ。」
茫然自失となって呟いた自称バーニーの問いに、少しだけ呆れたように軽く溜め息をつきつつも、悠希がハッキリと答える。
っていうか、魔法使いも人間だからっ。当たり前だからっ。
「大丈夫、雛?」
私は前方の二人に注意をしつつ、自分にすがり付く存在へ声を掛ける。
あまりの大音量で恐怖を叩き付けられたものだから、雛は落ちそうな程に目が真ん丸になって固まっていた。
顔を覗き込んでも反応がなく、それでも私の服の裾を掴んだまま。
仕方なく、ヒラヒラと目の前で掌を振ってみる。
「…………あ。」
再起動完了。
瞬きを開始した雛は、ゆっくりと周囲を見渡した。
「大丈夫?」
「…随分な騒音だったわね。」
心配して問い掛けた私に、雛は一言だけ呟く。
とりあえず、彼女も怪我がないようで一安心。
「で、弾切れとか言わないよな?」
不意に聞こえた悠希の声に、私は後ろを振り返った。
「…………………切れた。」
物凄く間を開けた後、苦々しく自称バーニーが答える。
いやいや、そんなに溜めてから言わなくても、すぐに分かっちゃうよね?
「ったく、何やってんだか。そんな事じゃ、魔法使い相手じゃなくても勝てんぞ?」
わざとらしく再度大きく溜め息をついてみせ、悠希は自称バーニーに告げた。
優しいんだか、厳しいんだか分からないけどね。




