科学武器02
「興味がないって…。オッサンさぁ、自分が対峙する相手の情報くらい、集めておくのは定石っていうもんだぜ?」
呆れたように、だが思ったより柔らかい悠希の声。
敵意を向けてきた相手であっても、こういうところは親身になって忠告してあげるらしい。
これも彼の正義、なのだろうか。
「仕方がないだろう?僕だって、上からの命令には逆らえないんだ。…さぁ、始めようか。これが成功すれば、僕は女の子を思う存分、改造出来る。」
少し不貞腐れたような返答であったが、話している間に笑みを浮かべた自称バーニー。
気味悪いその微笑みから、改造する女の子とは、その傍らにいるロボットの事なのだと思った。
っていうか、人であって良い筈がない。
「ったく…。ちなみにオッサンが俺に勝つとか、あり得ないから。火山雷ノ魔法、モード雷…放雷っ。」
大きく溜め息をついた悠希だが、すぐに気を取り直して魔法を展開する。
この放雷の魔法は前にも見た事があるけど、全身がバチバチと電気を帯びていて、とてもじゃないが近寄りがたい。
あ、勿論これに触ったら、味方である私も危ないんだろうけどね。
「へぇ?魔法使い、本当にいるんだねぇ。でもその電力、僕が有効活用してあげたいよ。んじゃ、僕の方も。マドリン、攻撃体制。」
楽しそうな表情を浮かべ、自称バーニーは隣のロボットに命令した。
するとその声に反応したのか、ロボットは頭頂部をこちらへ向けるように前傾姿勢になる。
自称バーニーが言っていた通り、手足の長さは短く、戦闘体勢は四足歩行型に変形するようだ。
「ガトリング砲って、どんな物だか知らないけどさぁ?銃弾が万能だって思われると、何だか癪に障るよな。」
複数の銃身を向けられても、悠希は余裕の表情を崩さない。
いやいや、それが何かが問題ではなくて、銃ってだけでも十分驚異じゃない?
「愚か者に説明してあげる義理はないからね。僕は魔法使いにしてあげる手加減なんてもの、欠片も持ってないんだ。んじゃ、さよなら。マドリン、ヤれ。」
自称バーニーが笑みを浮かべた途端、物凄い爆音が辺りに轟いた。
連続したソレは、もう何が何だか分からなくさせる。
周囲の音という音を独り占めにして、赤か白か分からない光が視界を埋め尽くした。
これがガトリング砲なのだ、と認識する。
景色を全て削り取っていかんばかりに、向けられた銃身の先へ有らん限りの弾丸を放つ。
放つ。
放つ。
ソレは、とても長い時間に感じた。




