ナルシスト登場01
「うわ~…、酷いねぇ。」
私は目の前に広がる山のような瓦礫に、思わず遠い目をしてしまう。
「金属の塔でも風化が激しかったから、こっちはどうかなって心配してたけど…とても中は入れそうにないや。」
大きく溜め息をつき、崩壊具合に項垂れた。
それにしても、予想以上の崩れ具合。
辛うじて門構えがあるくらいで、外観に本来の形が残っている部分がない。
「何だよ、これ。…これが旧世界の遺物か?」
悠希は不思議そうに親指を差し向け、可愛く小首を傾げてみせた。
いやいや、可愛いっておかしいでしょ。
そもそも悠希は私よりも年上で、しかも男の子なんだし。
私はプルプルと頭を振り、今し方の自分の感想を掻き消す。
「どうしたのかしら、唯?また心眼で、何かを聞いていたりするのかしらね。」
雛が私の顔を覗き込んだ。
明らかに挙動不審の私だったもんだから、心眼発動中なのかと思われたみたい。
「ち、違うよっ。ゆ、悠希が旧世界の遺物を、バカにしたように言ったからで…っ。こんなに立派な建物、この世界の建築様式とは全く違うじゃんっ。」
私は拳を振り上げ、力説する。
幼い頃から文献と慣れ親しんだ私にとって、旧世界の全てが宝石のように、綺麗で大切なものなんだから。
この世界とは雰囲気からして明らかに違う、異質な存在達。
それでも私達が生まれる前からここにあって、この世界と共に時を刻んだ物達なんだ。
これって、凄いコラボレーションなんだよっ。
「唯?別に俺は、旧世界の遺物をバカになんかしてねぇって。」
食って掛かる私に、悠希は両掌を開いて見せるように軽く手を上げた。
「本当にっ?」
「あぁ、勿論。それに、お前が好きなんだろ?」
更に問い掛ければ、ニカッと素敵笑顔を返してくる。
思わずドキッとしてしまった。
…こ、コイツは危ない。
天然女誑しではないんだろうか。
「御門さん、ストップ。今の貴方は、唯からとても警戒されたわよ?」
「えっ?な、何で?」
雛の忠告に、悠希がワタワタと慌てる。
どうやら、無自覚のようだ。
要注意。
「悠希って、初めて会った頃からそうだったよね。私達の事、女の子って呼んでたし。」
ジトッと横目で睨む私。
警戒マックスなのだ。
「ええっ!そこ?あ、あれは、その…っ。正義の味方を気取りたかったからで、他意はなかったですっ。ごめんなさいっ。」
警戒心剥き出しの私に、酷く慌てた悠希が突然頭を下げる。
えっ?…正義の、味方?




