螺旋04
「何だよ、螺旋階段って。」
「えっ?わ、私は知らないよっ。」
悠希に問われ、私は狼狽えてしまう。
心眼の情報を、過度に期待されても困るんだけど。
「螺旋階段は、螺旋…つまり、貝のようにグルグルと巻いているような形の、階段の事よ。」
サラリと説明してくれる雛。
わぉ、凄い。何で知ってるの?
「凄いな、雛乃。見た目と違わず、頭良いんだな。」
感心するように、悠希は軽く口笛を吹いた。
いやいや、それってあまり良い対応じゃないと思うんだけどね。
「御門さんはどうか分からないけれど、唯よりは記憶力は確かだと自負しているわ。」
さりげなく悠希も貶める、雛の淡々とした返答だ。
ほら、また怒らせてる。
っていうか、私がバカだと、ストレートに言われた気がするんだけど?
「唯は心眼の力で、旧世界の記憶とミックスだからな。そりゃ、どれが自分の本当の体験か、分からなくなるのも無理ねぇか。って、俺は普通だ。記憶力は並だと思うぜ?」
悠希は雛の言葉を気にした素振りもなく、ニカッと笑みまで浮かべての対応である。
何だか、私のフォローまでしてくれちゃってるし。
「あの~…、続きを良いかな?」
控え目に手をあげ、私は雛と悠希の会話に入る。
二人の言い合いを観察していたい気持ちもあるけど、そうこうしている間に、私が心眼で知った事を忘れそうなんだよね。
分かってるよ、頭が良くないのはっ。
「そうね。過去の情報収集は、唯がリーダーだもの。どうぞ?続きを話してくれて良いわよ。」
「あ~、悪いな。邪魔する気はなかったんだ。それで、他には何があったんだ?」
雛と悠希の視線が、一斉に私に向けられた。
うん、逆に話し辛いかな。
それでも私は、凱旋門という名の建築物が見えた事。それはパリの西側に位置していて、建物内部の螺旋階段を登ると、パリを一望出来るって話をする。
ついでに凱旋門からシャンゼリゼ大通りを抜けて、コンコルド広場、チュイルリ一公園、ルーブル美術館まで歩くのが定番コースなんだっていう、余計な案内までしたのだった。
その間、雛は文献の模写を見ながら、私の話す心眼情報を照らし合わせている。
実際に世界の欠片がある場所は、凱旋門とは限らないんだけどね。
文献にはこの辺り、四角い絵しか書いてないんだもん。
とりあえず東京タワーから近かったって理由で、こっち方向へポイントを定めただけだしね。
うん、安易な決め方なのは分かってるよ。




