螺旋01
夢を見た。
いやいや、起きてたんだけど。
長い螺旋階段を登ると、綺麗な街並みが見渡せる。高さは約50メートル、ビル12階分くらいだ。
これ、階段で登るのが辛い。
それでも屋上から見渡せるパノラマの景色は素晴らしく、エッフェル塔やコンコルド広場のオベリスクなどが眺められる。
凱旋門を中心に放射線状に大通りが12本通っていて、道路構成からそのロータリーは『エトワール広場=星の広場』と呼ばれているとか。
まぁ…何と言っても、真正面から見えるシャンゼリゼ大通りからの凱旋門が記念撮影ポイントだよね。
って…何で私は、観光ガイド的に案内しちゃってるんだろ。
えっと、これって白昼夢だよ。唯的、いつもの心眼ね。…自分の事を唯って、今はもう言わないんだけど。
「唯?どうしたのかしら、ボンヤリして。」
コップを手にしたまま固まっていた私に、雛が心配そうに問い掛けてくれる。
って、ボンヤリしてたんじゃないもんねっ。
「何、唯。また、心眼の御告げ?…ほら。」
からかうように笑みを浮かべ、悠希が串焼きにした川魚を差し出した。
それを受け取りながらも、私は不満げに唇を尖らせる。
「そんな顔してると…。」
「っ!」
悠希の言葉に、慌てて串焼きを受け取った反対の手で唇を押さえる。
危なかった~っ。絶対に絶対に、アヒルになったら悠希のせいなんだからっ。
視線だけで睨むと、フッと表情を緩める悠希。
「良い反射速度だな。冒険者たる者、いつ如何なるでも気を抜くべからず。」
「イ~だっ。私は冒険者一本で食べていく訳じゃないから、良いんだもんっ。」
偉そうに告げる悠希に、私は歯を剥き出しにしてみせる。
お説教なんて、要らないよっ。
「何だ?早々に、嫁になる宣言か?」
器用に片眉を上げ、小馬鹿にしたような問い掛けが続く。
「な…っ、誰がっ!」
「まぁ、まぁ。唯、落ち着いて?御門さんも、あまりからかうものではないわ?」
悠希の発言に、更にヒートアップする私。
とうとう、雛からタオルが投げ込まれた。
「話が進まないのだけれど。唯。心眼で、何かを見たのね?」
視線を合わせて口を閉ざした悠希と私に、雛は確信しているかのように問い掛けてくる。
はい、ごめんなさい。
雛は私の事を良く見てくれている。何だか守られているようで、とっても安心出来ちゃうんだよねっ。




