お宝の正体03 ─皐月(さつき)side─
「世界の…。」
再び、凜が呟く。
恐らく無意識に思考が漏れているんだろうけど、珍しい事なのだ。
ただキラキラが好きなあたしと違って、凜はトレジャーハンターとして有用な物を狙う。本当はこれが当たり前なんだろうけど、あたしとしては興味を引かないとやる気も出ない。
でも、凜は違う。
高額で稀少で…万人受けとは言わないものの、とても価値のある品をハントするのだ。
そして今回の彼女の反応。
これってもしかして、ここ最近で一番のお宝?
「世界の欠片ってくらいだから、集めたら世界征服出来ちゃったりして~。あたし達が女王になってぇ~…、いい男でも侍らせようかなぁ?やっぱり、ブクブクで汗臭いのは嫌いだしぃ。」
あたしは妄想する。
周囲に見目の良い男性達を並べ、キラッキラの豪奢な椅子に腰掛けたあたし。顔だけはツンとすまして見せても、内心グフフだった。
「皐月。顔が気持ち悪い。」
「え…、な、何?」
突然凜から声を掛けられ、あたしは戸惑いつつも現実に戻ってくる。
っていうか、気持ち悪いって言われなかったぁ?
「ちょっとぉ~。さりげなく、あたしを罵らないでくれるぅ?」
「どうせ変な妄想をしていたんでしょ。ヨダレ垂れそうだった。」
ムッとしながら告げると、凜が淡々と突っ込みだ。
うぅ…、鋭い。っていうか、あたしの思考がただ漏れ?
「そんな事より。世界の欠片、集めるよ。」
ハッキリと凜が言葉にする。
「えっ?…別にあたしは異存はないんだけど、本当に良いの?」
不思議一杯のあたし。
でも、単にあたしが欲しいって言ったからではないと、実は分かっている。
凜はその欠片に、お宝の匂いを感じたんだ。
「欠片を集めたら何になるか、今はまだ分からない。でも。」
「うんっ。お宝の匂いが、ぷんぷんするよねっ。」
言葉を止めた凜に続けると、僅かに表情を緩める。
正解なのだと、すぐに分かった。
何が起こるんだろう。欠片ってだけあって、集めると一つになるとか?
でもね、覆水盆に返らず、って言うでしょ?元に戻るとかってのは、夢物語な感じがするよねぇ。
まぁ、お宝である事に変わりはないんだろうけどっ。
「目標を探す方法は。」
メモを取りながら、凜が問い掛けてきた。
恐らく、あたしの過去視を記しているんだろうな。




