お宝の正体01~ ─皐月(さつき)side─
部屋に案内され、食事は1階の食堂で食べる等の注意事項を聞いた。
女将さんが立ち去った後、あたしは大きく息を吐いてベッドに座り込む。
疲れたぁ、本当に。過去視をしながら場を繋ぐのって、神経がすり減るから嫌なんだよねぇ。
「皐月。情報は。」
「あ、うん。でもあの…、ちょっとお腹空かない?」
淡々とした凜の問い掛けに、あたしは少し苦笑を返した。
朝御飯を食べた後、何も食べてない。しかもその間動き回り、過去視を3回もしているのだ。
既に、二つの太陽は中天に昇っている。
「そう。記憶ノ魔法、お皿、肉巻きおにぎり。」
凜はあたしの言葉に同意するでもなく、簡単にお皿と、その上にお肉で巻いた俵サイズおにぎりを出してくれる。
しかもそのお肉はジュウジュウと脂が弾けていて、とっても食欲をそそる匂いを醸し出していた。
「ぅおぉぉぉおおお~っ!」
そして思わず叫んでしまった。
出来立てのそれを見ただけで、もう口の中は溢れんばかりのヨダレがっ!
「食べる。」
「ありがとう~っ!」
差し出されたお皿に、凜に礼を告げながら受け取るなり、すぐさま頬張るあたし。
あつっ、あつっ…でも、美味しいっ。
「おいひ~っ!」
そして叫んだ。
もう本当に、わざわざ食堂なんて行ってられないよねっ。
掌サイズのそれを、あたしは3つも食べてしまった。
「皐月。お腹一杯。」
「うん、ありがとうっ。本当に美味しかった!よぉしっ。とっとと仕事、片付けちゃいましょお。」
お腹を撫でてしまうくらい満腹になったあたしは、凜の言葉にニカッと笑みを返した。
魔力は体力、気力、食欲と直結しているとあたしは思うんだよね。
お腹が空いていたら魔法もイマイチだし、集中力も欠くから尚更上手くいかない。
キチンと魔法を使うには、万全の状態にしておかないとねっ。
「時間ノ魔法、過去視。」
あたしは対象を部屋の壁にして、過去視の魔法を発動させた。
直前の宿泊者は彼女達じゃなかったらしく、あたしは過去を巻き戻しつつ捜す。
よっしゃぁぁぁあああ!あ、…失礼しました。
9組前の宿泊者が彼女達だったのである。ビンゴ。
栗色の唯ちゃんと、黒髪の雛乃ちゃん。バッチリ、宿泊者名簿で確認したよっ。
だが、感動したのはそこまでである。
何故かその場には、あたしの知らない男の子がいるではないか。
あれぇ?何なの、この子。でもでも、見た感じ、凜と同じくらい?唯ちゃんと雛乃ちゃんよりは、絶対に年上だよねぇ?




