情報収集03 ─皐月(さつき)side─
冒険者の宿を出たあたし達は、建ち並ぶ商店に来ている。
土地が変われば、真新しい物が店頭に並ぶ。
それらを吟味し、必要ならば買い揃え、今後のあたし達の為の素材となる。
っていっても、大半が凜の記憶に追加するだけなんだけどね。
彼女の知識に加える事で、記憶ノ魔法のネタになるんだよ。超便利っ。
「新しい武器。」
武器屋に並んだ品物に引かれ、凜が立ち止まる。
目にしているのは、遠距離攻撃用の弓。
「今も弓、持ってるんじゃなぁい?」
それに手を伸ばした彼女へ、小首を傾げながらあたしが訴える。
「これは強力。」
手にして弦を引き、具合を確かめているようだ。
確かに、調査して記憶に留めるだけで自分の物に出来るのだから、無駄遣いしている訳でも何でもない。
思う存分、調べてくれて良いよ。
「お嬢ちゃん、それは魔獣もいける弓だぜ?」
武器屋の店主が、大きな口をガハハと開けながら告げた。
誇張しすぎだよ、おっちゃん。魔物ならいざしらず、魔獣は無理でしょ。
そもそも、魔物よりも強大な力を持つとされる魔獣は、こんな人里にはよっぽど現れないんだけど。
「少し重い。」
様々な角度から見ていた凜は、弦をキリキリと力一杯引いていた。
そんなに引けるなら、問題ないとあたしは思うんだけどねぇ。
「お嬢ちゃんには、もう少し可愛いのが良いんじゃないか?ほら、そっちのあんたはどうだい。」
商売人故か、あたしにまで並んだ商品を勧めてくる。
でも、あたしの食指が動くようなキラキラはない。
「あたしはぁ、可愛いから武器を持たないの~っ。」
クネクネと腰を捻り、上目遣いで武器屋の店主を見上げる。
だいたい、あたしの主流とする武器は近距離戦向け。
しかも凜がいれば、欲しい武器は次から次へと出てくるのだ。
勿論自分のマジックバックには、予備として幾つか剣がしまってある。けど、殆ど使った事はないんだよね。
「そ、そうかい?まぁ、護身用として持っておくのも、悪くはないんだがな。」
不要と告げたあたしの言葉が、まだこの店主には伝わっていないようだ。
だから、要らないんだってのっ。
あたしはしつこい男はキライ。
「時間ノ魔法、過去視。」
無害を装って店主の袖口を掴み、誰にも聞こえないように、口の中で呟くように魔法を唱える。
「それじゃあ~、おじさまがリタさんの代わりでも良いからぁ、あたしを優しく守ってくれるなら、考えても良いかなぁ?」
過去視で視た、店主の愛人の名前を出してやる。




