情報収集02 ─皐月(さつき)side─
「あのね…っ。」
あたしは凜に向かって口を開く。
けど、すぐにここが何処であるかを察した。
ダメよ、ダメ。こんな人目の多い場所で、お宝の話なんて出来ないよっ。とにかく、もっと情報を集めないと。
幸い、凜はこちらへ意識を向けてはいない。それならば、自分の出来る事をするだけだ。
過去視の途中で意識を分割するなんて、そんな器用な事はあたしには無理なんだもん。
そう考えが定まると、行うべき行動は一つ。
今視えている物を見るだけだ。
あたしは再び、過去視に意識を向ける。
視界に映る彼女達以外にも、たくさんのムサイ男達が周囲に溢れていた。
う~ん、美しくない。
筋骨隆々の、いかにも脳筋な感じの汗臭そうな冒険者が多い。
映像を視ているだけだから実際に臭わないんだけど、気分的に不快になるのはあたしだけかな?
だってあたしは、綺麗な物が好きなのっ。
過去視に文句を言ったところで変わらないけど。
ちなみに今は時間的にか、冒険者達は出払っている。
あたしは意識的にガタイの大きな野郎共を外し、二人の少女を観察する。
あたしや凜より、少しだけ幼く見える彼女達。特に栗色の子は見た目も小さくて、すっごく可愛いんだけど~っ。
何、この子。周囲の棚と比較しても、140センチないんじゃないかな?
良いわ~っ。あたしはキラキラなお宝が一番好きだけど、可愛いものも好きっ。
ほっぺたを押さえて声を上げそうになり、思わずそのままの体勢で止まる。
ダメよ、ダメ。
こうして自制が利く時は良いが、基本的にあたしは妄想癖…じゃない、夢見がちなところがあると自覚している。
ただでさえ現実のあたしは、依頼ボードを見ながらボンヤリと突っ立っているのだ。これ以上の行動は、おかしな人認定を受けかねない。
深呼吸を一つして、あたしはウキウキ気分を抑える。
よし、大丈夫。
そして改めて、過去視に意識を向けた。
それにしても…。この黒髪の子は、本当に話さないなぁ。
栗色の子は周りの冒険者達とコミュニケーションを取り、依頼書についてや道中の情報などを聞いていた。
あたし程じゃないけど、対人スキルは高いらしい。
でもでも、本題であるキラキラボールの事はどうなっているんだろう。
まぁ…こんなに人目がある場所で、お宝の話なんてしないか。あ、もしかしたら彼女達も、トレジャーハンターかもしれないっ。




