過去視より03─皐月(さつき)side─
「皐月。私が呼んだのに、また自分の世界に入ってる。」
「あ…。そ、そんな事ないよっ?凜が何に気付いたのか、楽しみだな~って思っただけだよぉ~っ。」
凜にじっと見られ、あたしは慌てて言い分けしてみる。
たぶん見透かされてるとは思うけど、凜はそれ以上何も言わなかった。
大人な対応だよ。ありがとう、お姉ちゃんっ。
いやいや、あたしの方が一つお姉さんで、背だって10センチは高いんだぞぅ?
「…それで、皐月。今回のお宝の形は何。」
いつものように、凜があたしに問う。
トレジャーハンターをしているあたし達にとって、人の大切な物、欲しがる物こそがお宝なのだっ。
実際には、売ってお金になるものだけどね。
「うん、宝石?かな。これくらいの球体で…。」
あたしは、身ぶり手振りで大きさや形を伝える。
過去視が出来るのはあたしだけだから、凜はそれらの情報から推測するのだ。
「古い建造物が中に入っているのは何故。」
「えっ?…何でかなぁ。あたしも、実際に存在していたそれを手にしないと分からないんだけどね?でも、凄く綺麗だったんだ~っ。」
呟いた凜の言葉に、あたしも首を傾げる。
対象物に触れない事には、あたしの過去視は使えない。
それでも、あの綺麗な光る球を思い出すと、ほわ~ってなるのぉ。
「そう。ここで戦闘があった痕跡はあるけど、お宝の手掛かりはない。これ以上ここにいても無駄。」
手早く、周りに散らかした道具をマジックバックに片付ける凜。
どうやら、本当に残るこれは鉄屑の塊だったらしい。
「うん、了解~。って、次は何処に行くの?」
凜の作業を見ながら、あたしが問い掛けた。
片付ける物なんてないあたしは、凜が終わるのを待つだけ。
けどそう問い掛けたら、冷たい視線を返される。
「そんな事、私は知らない。過去を視たのも、目標を知っているのも皐月。」
話しつつも、ウエストポーチ型のマジックバックに、道具を全て片付け終わった凜。
ちなみにあたしも凜も、マジックバックの改造は最高値だ。
トレジャーハンターに必要不可欠な物は、道具とお宝入れなのだからねっ。
「そうだよねぇ~っ。あたしも、凜がいないと色々と困っちゃうから。」
そうしてあたしは、最高の笑顔を向ける。
同時にお腹が鳴ったのは、あくまでも偶然だから。




