過去視より02─皐月(さつき)side─
「同業者…。面倒臭い。」
あたしの言葉に対する凜の反応は、実に分かりやすい。
気だるげに振り返り、あからさまな溜め息をついてみせる。
「しかも、二組。」
「……。それ、冗談?」
続けてあたしが告げた追加事項に、珍しく凜が僅かに目を見開いた。
それでも、ごく小さな反応だったけど。
「まさかぁ?あたしが凜に、冗談を言う訳がないじゃない。」
「あるよ、たくさん。」
ケラケラと笑いながら返したあたしだったけど、凜に即答されて顔がひきつる。
そ、そんなに冗談を言ってるつもりはないんだけど…ね?
「で、でもあの…女の子二人組と別に、そっちへの襲撃犯がいて…。」
「分かった。…でも二組いるとなると、この先…。」
しどろもどろになるあたしの言葉を遮り、凜が思考に入る。
彼女はとても計算が早く、何やら様々な状況等からあらゆる結果を推測するという、あたしには分からない頭の構造をしているんだよね。
でも、こうなったら暫くの間は現実世界に返って来ないから、あたしは再度、過去視の世界に見入った。
目まぐるしく変わる、過去の映像。
あくまでも鉄屑…四角錐の塔が見た映像だから、焦点とかなくて、ただ漠然と時の流れを視てる感じかな。
それでもその昔はこんな荒野じゃなくて、石の建物がたくさん建ち並ぶ、綺麗に整地された場所に存在していたって事実があった。
こういった過去視は、良く視る。だから、これが夢の世界ではなく、実際に存在していたとあたしは知っている。
「…聞いてる、皐月。」
「えっ?な、何?」
不意に呼び掛けられている事に気付き、慌てて過去視を解除して凜に向き直った。
あたしは過去を視ている時、今は見えないんだよね。
「また過去に視入ってた。時間を区切って視ないと、危ないっていつも言ってる。」
「あ…う、うん。そうだよね、気を付ける。」
淡々と注意する凜に、あたしは苦笑しながら謝る。
一つ下の凜の方が、どう考えてもお姉さん体質なんだよね。
絶対、前世でお姉さんキャラだった筈!何ていってもまぁ、人の過去は前世まで視れないんだけど。
あくまでも、その存在の過去視だもん。
植物や物と違って、生物の存在は発生してから消滅するまでが短いんだし。仕方ないよね。




