過去視より01─皐月(さつき)side─
崩れた鉄屑の脇で、あたしは魅惑のキラキラを視ていた。
それは親指と人差し指で輪を作った程の、小さな球体。でもその青白く光る透明の壁の中には、何故か四角錐の塔が一つ入っている。
そして、キラキラ、キラキラ。それ自体が、星みたいに輝いてる。
「綺麗~…っ、ねぇ?視てよ、凜っ。」
あたしは興奮気味に、隣に立つ凜に声を掛けた。
凜はあたしより一つ下の、15歳。黒髪おかっぱの眼鏡っ娘なのね。
あ、そう言うあたしは、茶髪ポニーテールのビューティフルレディよ?凜が派手だっていう服や装飾品だって、あたしの美しさの前では霞んでしまうわね。
第一、キラキラしているものが大好きなあたしにとって、装飾品は大好物なんだから外せないっ。
「ねぇってばぁ!」
「皐月、うるさい。…視える訳ない。私の視界には、崩れた鉄屑の山しか見えない。」
興奮しているあたしとは逆に、酷く冷静な言葉が返ってくる。
今の彼女は、錆びた鉄屑の山を丹念に調べているのだ。
そんなもの、全然全く綺麗じゃないのにぃ。
「何よぉ、けちんぼ。」
「言っとくけど。過去視が出来る皐月と、全てを共感出来ると思わない事。それに、二人で同じものを探しても仕方ない。」
拗ねて見せたあたしに、凜は淡々と正論を突き付けてきた。
何よぉ…。将来、ザマス先生にでもなりたいのかなあ?
あたしは内心でそうボヤきつつ、尖ったメガネの端をクイッて、人差し指で押し上げる凜を想像してしまう。
プクククッ…、似合うかもっ。
「いたい…。」
一人でクスクス笑っていたら、凜からの軽いげんこつが脳天に落ちてきた。
あたしは頭を両手で押さえつつ、少しだけ潤んだ瞳を彼女に向ける。
「失礼な妄想してないで、皐月も探して。お宝があるんでしょ。」
「はぁい。時間ノ魔法、過去視。」
凜に怒られ、あたしは渋々、自分の魔法に集中し始める。
この過去視の魔法は、触れているものの過去を視る事が出来るのよね。
現在の対象は、目の前に広がる鉄屑。でもあたしの過去視により、これが四角錐の塔である事が分かった。
そしてそれが、キラキラ光る球体と関係がある事も、何者かが持ち去った事実も知る事が出来る。
「凜~っ、同業者かもしれないよぉ?」
あたしは事も無げに、凜に告げた。
そんな事は、あたし達にはざらにある話だからである。




