旧世界の遺物04
「そんな、気にすんな。」
私が暗い顔をしていたからか、悠希が少し強めに頭を撫でる。
グリグリされて、髪が乱れる…けど、何だかそれでも良いかな?とか思ってしまっている私。
でもでも…世界の欠片を集める事が、本当にこの世界から旧世界の遺物を消してしまうのだとしたら。
「確認しなきゃっ。」
「おわっ?!」
急に立ち上がった私に驚いて、悠希が後方へ倒れていった。
…何してるの?
「や…まぁ…、元気になったなら、それで良いけどな。」
小首を傾げた私に、悠希はテーブルの下から顔を出し、曖昧な笑みを浮かべる。
何がだろう…。
私は意味が分からなかったけど、でも良いと言われたから、良いのだと判断した。
「悠希、帰るよっ。」
「えっ?まだ飯を…っ。お姉さん、これ、包んでくれるっ?」
勢い良く店内から出て行こうする私の背を見送りつつ、悠希は店員さんにテーブルの上の食事をまとめてもらっている。
た、確かに食事を残すのはダメだよね。
悠希の言葉に、考え込んでいて最後まで食べていなかった事を思い出したけど、今更席には戻れない。
「ご、ごめん…。」
会計の為に、私の傍に歩み寄ってきた悠希。
私は反省の意味も込めて、項垂れながら謝罪した。
「大丈夫だって。雛乃が食べられるようなら、三人で食べようぜ?」
ニカッと笑った彼は、私の無礼を気にしていないと暗に告げている。
優しいんだね、悠希って。
そんなこんなありつつも、包んでもらった食事を持って宿に戻る。
何だかこれって、お弁当みたい。
私は夢で見た、持ち運び用の食事を思い出す。
豪華なものからシンプルなものまで様々で、他人の感覚だけど、外での食事はとても美味しかった。
「何。どうしたの?唯、何だか嬉しそうだな。」
にやけていたのを見られたのか、悠希に問い掛けられる。
うわ~…、恥ずかしいっ。ダメよ、ダメっ。相手は雛じゃないんだから、感情をただ漏れにしちゃいけないのっ。
「な、何でもないっ。」
思わず強く答えてしまった私。
あっ!…こんな言い方をするつもりはなかったのっ。
「そ、か。まぁ、唯が楽しいなら、俺は良いんだけどな。」
慌てて困った顔をした私だけど、悠希は全く気にしてないみたいに、爽やかに微笑んでいた。
な、何なの?悠希って、良い人な訳?
彼との過去を思い出せない後ろめたさがある私は、いまいち距離感が掴めずにいる。
たまにそれを忘れて、雛といるように対応しちゃってるんだけどね。




