一つ目の欠片04
私は彼に歩み寄り、手元へ顔を近付ける。
青白く光るそれの中には、四角錐の塔が入っていた。
そしてそれが東京タワーだと、すぐに分かる。
「うん、これ。ありがとう、悠希。」
私は視線を外す事なく欠片を見つめ、悠希から手渡された後も暫く見入っていた。
とにもかくにも、一つ目の欠片、GETなのよっ。
「そ、か。よし、それじゃあ…。っていっても、ここで解放はしてやらないけどな。」
悠希は元覆面さんに視線を移し、爽やかな笑顔で告げる。
…え?
言葉の真意を読み取るべく、思わず私はマジマジと彼の顔を見上げた。
「あ、約束は守るよ。大丈夫だって、唯。」
私の不安を感じたのか、悠希はニッコリと微笑む。
正義を訴える彼だから、ここで無抵抗の人をどうこうするとは思えなかったけど。
「お願いね?」
とりあえず私も、ニコッと笑顔で釘を刺しておいた。
「分かってるって。んじゃ、簡単に追い掛けて来れないくらいには、遠くに行ってもらうよ?」
相変わらず爽やかに、でも内容はかなり強烈な言葉を告げる悠希。
いやいや、遠くって。…まさか、投げないよね?
少し不安に思ったけど、次の瞬間、それが杞憂でない事を悟った。
「せぇ…のっ!」
小石でも投げるかのように振りかぶると、町とは反対の方向を向けて腕を振る。
そして本当にその動きに合わせて、元覆面さんを拘束した土の塊ごと飛んでいったのだ。
「な、何で投げちゃったのっ?」
一瞬唖然とした後、思わず食って掛かる私。
抵抗が出来ないまま落ちちゃったら、もしかしたら死んじゃうかも知れないのに。
「大丈夫だって、唯。アイツ等は図太いんだ。俺達と違って、科学っていう不可思議な力を使いやがる。」
当の悠希は、軽く肩を竦めるだけ。
しかも、科学?…それって、旧世界の力じゃん。
「悠希、科学って…。」
「あぁ~…、その話は長くなるからさ。先に雛乃を医者に診せた方が良いだろ。」
私の言葉を遮り、悠希が笑顔を向けた。
「あ…………、そうだった。」
間が物凄くあいたのは、私の頭の回路が繋がるのに時間を要した為。
さっきまでの私は、旧世界と科学に意識が向いていたからね。
わ、忘れていた訳じゃないよ?雛は私の大切な、一番の親友なんだからっ。
「んじゃ、近くの町まで運ぶか。…って、雛乃は俺に触られるの嫌だよな。魔法で運んでも良いか?」
「あ、う、うんっ。」
斜め上の方を見て、何かを考える素振りをした悠希。
そして紡がれた言葉に私が動揺したのは、仕方のない事だと思う。
何故彼は、こうも雛の事を知っているんだろう。




