捕獲04
「はい。これでも、返す気はないのか?」
驚く私をよそに、男の子は残る一人の覆面に問い掛ける。
そうだった、まだもう一人いたんだ。
小首を傾げる彼の姿は何だか可愛いのに、態度が横柄っていうか、悪人っぽい。
「…くそっ!」
舌打ちをしながら、吐き捨てる覆面。
「ったく…。女性がそんな言葉遣いをしちゃ、ダメだろ?」
ポイッと手にしていたワイヤーを投げ捨てながら、彼は砂に埋もれる覆面に近付く。
………は?
あ、ごめん。思わず内心で突っ込んじゃった。
私は覆面に近付いていく彼の背中を見つめながらも、さっきの言葉の意味を考えた。
でも、確かに女性が、って言ったよね?
私には男性の声しか聞こえないんだけど…。
思い切り首を傾げる私。
でもすぐに、彼の言葉が正しかったのだと証明される。
何故なら、その人物に歩み寄った彼が、覆面を取り去ったから。
頭全面を覆っていた覆面が剥ぎ取られ、オレンジがかったセミロングの髪が顕になる。
「…くそ魔法使いがっ。」
今度はしっかりと、女声の声で罵声が聞こえる。
いやいや、口汚いよ?綺麗な人なのに。
だってだって、彼を鋭く見る瞳は青緑で、肌はとても白いんだよ?…羨ましい。
「ごめんね、魔法使いで。でも、大人数でよってたかって年下の女の子を苛めるのは、俺の正義に反してるんだよね。」
笑顔で告げている彼だけど、その瞳は笑っていない。
あ、年下の女の子って、私達の事だよね。
覆面だったその人は、両手の自由も砂に封じられていて、今は肩から上の自由しか許されていない。
「フンッ。正義なんて看板は、強い者が言う言葉なんだよっ。そんなもの、くそ食らえだっ。」
「そんな事を言ってると、この場に埋めちゃうぞ?」
戦意を剥き出しにしている覆面さんと、とっても爽やか笑顔の彼。
噛み合ってないんだけど、何故だか砂の地面が固まって来てる感じがするのは、私の気のせいかな?
「お前達魔法使いに好きにされるなら、ここで死んだ方がましだっ。」
覆面さんはプイッと顔を逸らし、それ以上の交渉は受けないと示す。
って、好きにされるって何?怖いんだけど。
「全く……。これだから科学者ってのは、頑固だって言われるんだ。相手が誰であれ、女性に好き勝手するのは悪だろうが。それも俺の正義に反するっ。」
軽く溜め息をつきながらも、真っ向から覆面さんの言葉を否定した彼。
良かった。とりあえず、酷い事はしなさそうだね。




