捕獲01
彼の発動させた魔法は、覆面軍団ごとビルの屋上を持ち上げ、あろうことかそれをこちらへ近付けてきている。
な、何で持ってくるのっ?…あ、行く手間が省ける?いやいや、そうじゃないよね、たぶん。
私の脳内は様々な推測が溢れ、もはや手がつけられない。
「はい、捕獲完了~。」
そう言うが早いか、目の前まで来たビルの屋上部分が落下する。
えぇ~っ?!落としちゃうのっ?
驚きのあまりに再び私の口が開かれてしまったが、もうそれにすら気にしていられない。
ズドーンッ!
大きな音が辺りに響き渡り、砂埃で周囲の視界がほぼゼロになる。
やりすぎでしょ、とか思った私は悪くないよね?
「ほら、行くよ?」
砂埃から守る為に顔を覆っていた腕を取られ、声と共に引かれる。
「え…っ?」
半ば強引に立ち上がらせられ、私は横たわる雛に視線を向けた。
あれ?いつの間にか、雛の頭が荷物の上に移動してる。この人がやったの?
私は腕を引く男の子に視線を移した。
うん、やっぱり背が高い。私と30センチくらい差があるかな?
どう私を大きく見積もっても、彼の胸の位置に頭がくる。
「やっぱり、落とすだけじゃ温かったな。おい、馬鹿共。女の子から奪った物を返すんだ。」
鋭い声に、漸く私は現状を把握する。
彼は、私達が覆面5人組にされた仕打ちを見ていたようだ。それでこうして魔法を使い、ここまでしてくれてる。
覆面5人組は軽く瓦礫の下敷きになってはいるが、ほぼ無傷のようだ。
頭を振りながらも、された事を認識出来ているみたい。だってその内の一人は、私の隣に立つ彼を射殺さんばかりに睨み付けているもん。
「ねぇ…、返して?」
私も声を掛けてみる。
あ…、睨まれた。だよねぇ?大人しく返してくれないよね、やっぱり。
苦笑いを浮かべて怯んでしまう私だけど、隣の彼は違った。
「へぇ?根性だけはあるようだな。けど、それがいつまで続くかな?火山雷ノ魔法…モード土、砂地獄。」
悪い笑みを浮かべたかと思うと、先程とは違う魔法を発動させる。
そして同時に私の肩を抱いて、ヒョイと軽々数メートルほど後退した。
私は驚きすぎて、声も出なかったよ。すぐに私は彼から解放されたけど…。
きゃ~っ、肩を抱かれちゃったよっ?
「うわ~っ。な、何だ、これはっ。」
両頬を押さえて身悶えていた私の耳に、酷く慌てたような男性の声が聞こえた。
驚いて視線を向けると、何故か前方の地面が砂と化している。
ん?何故、砂?
私は自分の足下を見て、再び前方を確認する。
自分の立っている場所は普通の地面なのに、彼等(?)がいる場所は流砂のごとく、地面がサラサラと動いていた。
これ…もしかしなくても、彼がやったんだよね?




