応援03
鏃が大きく左に逸れて飛んでくる。
双児宮が作り出した風の防御壁は前方のみの防御であり、今この瞬間にそこに防御はない。
いや~っ、そこはマズイって!
雛の身体を抱き締めながら、私は心の中で叫んだ。
何でこういう時って、やたらとスローに見えるのかな。恐怖を煽るだけだから、いっそのこと一思いに…いやいや、ダメだよっ。
私は見開いた両目を閉じる事も出来ず、その身を固くする。
「障壁ノ魔法、絶対防御。」
遠くでそんな声が聞こえた。
そして前方に半透明の壁が登場する。
飛んできた鏃が大きな音をたてて弾かれる。
…あ…、あれ…?
全てが目の前で起こったんだけど、私は完全に呆けてしまって動けなかった。
「か弱い女の子相手に何をするんだ、あの馬鹿共はっ!火山雷ノ魔法…モード土、大地浮遊っ。」
吐き捨てるかのような怒声が聞こえ、私はゆっくりと視線を巡らせて声の主を見る。
男の子…。歳は同じくらいか、少し上。背は高くて、私からしたら見上げちゃうくらいかな。
「もう大丈夫だからなっ。」
なんてボンヤリ観察してたら、不意に振り返った彼と目があって、微笑まれちゃった。
えっ?何?
恐怖からの驚きがまだ回復してなくて、私は瞬きを繰り返す事しか出来ない。
そんな中、彼の放った魔法が前方の地面を持ち上げていた。
…え?
更に驚愕のあまり見開かれる私の瞳。もう、落ちちゃうんじゃないかしらってくらい。
それでも魔法は止まらない。
ゴボッと音が聞こえそうなほど、覆面軍団の立っていた場所一帯が空中に浮かんだ。
建物の屋上部分が、帽子を脱いだみたいにパカッとだよ?
「口、開いてる。」
いつからこちらを見ていたのか、クスッと笑いながら突っ込まれた。
爽やかな笑顔で、そんな事を言わないでよ。
「なっ?」
慌てて口を閉じたけど、間抜けな顔を見られた事には変わらない。
自業自得ながらも、その腑に落ちなさに唇を尖らせてしまう。
「そう、拗ねるなよ。ホント、昔と少しも変わってないな。相変わらずちっこいし。」
とても素敵笑顔で、何故か毒を吐かれた。
ん?何、この人。昔からって…、私は知らないよっ?
「何だ、忘れちまったのか?」
そんな事を思っていると顔に出てたのか、彼は苦笑いを浮かべてしまう。
いやいや、本当に知り合いなの?
って言うか、今は前方に集中してよねっ。




