敵襲 02
「凄いね、そういう形も作れるんだね。」
私は本気で感心した。
これ、職人の鍛冶スキルなんだよね。魔術回路っていう高度の鍛冶スキルによって、魔法をアイテムに組み込めるんだって。
「そうね。基本的な形はあるのだけれど、オーダーメイドが出来るから重宝しているわ?」
そう言いながら眼鏡の端を指先で押し上げる雛は、一見何処かの先生みたいだ。
そんな風に感心している私の耳に、金属が連続してぶつかる音が聞こえる。
って、今は戦闘中だったよ。雛の風の防御壁に守られているおかげで、スッカリ忘れてた。
「えっと…、防戦一方な感じ?」
私は雛の背から脇へ、少しだけ顔を覗かせてみる。
前方に風ノ魔法で出来た壁があるから、ほぼ直線的に飛んでくる敵の攻撃は全く当たらない。
けど本来この壁には、当たったものを切り刻むっていう効果があるはず。
「そうよね、困ったわ?攻撃対象が金属なのよね。」
眉根を寄せ、言葉通り困った表情をする雛。
雛の風ノ魔法は、自然界に存在する力だから強力なんだけど、さすがに金属を切断する事は出来ない。
「そっかぁ…。私もこの距離じゃ、さすがに手が出せないんだよねぇ。」
二人して困り顔を付き合わせる事になった。
私の星ノ魔法だって、攻撃範囲は限られている。
遠距離攻撃が可能なのは、人馬宮の弓くらいだけど…。
「このままでは、せっかく見つけた欠片を確認する事なく、持ち去られてしまうわね。」
至極残念そうに告げられ、私はその突き付けられた事実に目を見開く。
持ち去られる?…こんなにも、簡単に?
ここまで来るのも簡単じゃなかった。
徒歩だよ、徒歩っ。何日も掛かったんだよっ?!
「あんな変な覆面軍団の思うがままなんて、我慢出来ないっ!星ノ魔法、人馬宮!」
納得出来なかった私は、星ノ魔法で半人半馬の人馬を召喚する。
栗色の美しいフォルムの馬だが、その首から先には人形の男性の上半身が乗っている。
「お願い、この攻撃をどうにか出来ないかな?」
私が指示を出すと、彼の者から了承の意思が返ってきた。
そもそも、この敵の攻撃のせいで、雛の風の防御壁から出る事も出来ないんだから。
ある程度まで近付く事が出来れば、もう少し対処のしようがあるってもの。
このまま隠れているだけじゃ、本当に持ち逃げされちゃうじゃない。




