敵襲 01
驚き戸惑う私達へ、再び第二撃が行われた。
「危ないっ、唯!風ノ魔法、風嵐壁。」
雛の逼迫した、悲鳴にも似た声が響く。
直後に甲高い音が鼓膜を刺した。
「っ?!」
私は首を竦めるも、即座に状況を判断。
雛が私を庇うように背を向けている。
その前方の地面に、掌サイズの鏃のような金属質の物体。
だが、ただの鏃ではないのは明らかだ。何故ならばそれは数瞬の後、私の視界から飛ぶように消え去ったから。
ううん、厳密には消えた訳じゃない。
時間を巻き戻すかのように、鏃の後方へと引き戻されていったのだ。
「唯、敵襲みたいよ?」
「う、うん。しかも、魔物じゃないよね?」
背後にいる私に振り向く事なく、雛が緊張した声音で告げる。
私でも分かる。あれは魔物の攻撃ではない。
だって、魔物は道具を使わないもの。
「左手前方の、建築物の上が見えるかしら。」
雛が言葉で示した先は、遥か前方にあるビルの事。
冗談としか思えない距離だが、この辺り一帯は随分と開けている。そして雛が示すものは、一キロ近く離れた場所。
さすがにそのまま視認する事が出来なくて、私はマジックバックからマジックアイテムの一つ、望遠眼鏡を取り出した。
嘘、彼処から?
「あ、あの4つ…あ、5つの覆面っ?」
答えながらも、私は驚きを隠せない。
いくらなんでも、攻撃可能距離があるよね。
それに、何よりも問題なのが敵の姿。何で覆面してるのよ。
「そうね。何を考えているのかは分からないのだけれど、年齢性別不詳の覆面5人組が襲撃者よ?」
冷静な雛の言葉に、私は違う疑問が湧いた。
「雛、見えてるの?」
私は素直に疑問をぶつける。
だって私は望遠眼鏡を使っているのに、雛は裸眼だなんて。
「見えるわよ?望遠眼鏡を使っているもの。」
「え?だって…。」
さらりと返答する雛に対し、私は自分の望遠眼鏡を見る。
私の物は通常仕様の、両手で掴んで望遠部分を覗き込むタイプだ。
「私の望遠眼鏡はこれよ?」
小さく首を傾げられ、私は雛の顔をマジマジと見入る。
「………あ。」
観察をして、漸く気付いた。
う~ん、私って鈍いのかな?そ、そんな事ないよねっ?
と、とにかく雛の望遠眼鏡は、なんと眼鏡タイプ!
フレームレス・タイプだから、本当に気付かなかっただけだからねっ。




