光る点03
翌日の朝、私達は東京タワーへと出発をする。
勿論、しっかりと朝御飯を食べてからだけど。
「あ、ほら。あれだよ、見えてきたねっ。」
私は前方を指し示しながら、互いに見えているだろう景色を雛と共有する。
「そうね。何だかかなりくたびれてしまっているけれど、地図によるとあれが目的地ね。」
雛は文献を描き写した地図と方角を見比べていた。
近付くにつれ、その全貌が明らかになる。
くたびれて、と雛が表現したのは、まだ優しかった。
それこそ、お化けが住んでいそうな、サビサビ、ボロッボロの建築物である。
というか、立っているのが不思議なほど。
「何だか…、凄いね。」
「そうね。100年経っているのだから、これは無理もないのだけれど。」
口を開けて見上げた私の隣、雛は顎に手をあてながら観察中のようだ。
私は旧世界の建築物を目の当たりにしたのは初めてじゃないけど、これ程の悲惨な状態はショックを受けずにいられない。
「雨露を避ける事が目的の建築物ではないから、人に使われなかったのね。」
静かに観察していた雛は、結論を淡々と告げる。
うん、そうだよね。建物って、人が使わなくなるとすぐにガタがくるって聞くし。
「あれね?光る点って。」
不意に雛が意識を誘う。
そして彼女の視線の先を追い、見つけた。
うん、何かが光ってる。…けど、とっても小さい。
「何だろうね、雛?」
小首を傾げ、私は雛へ視線を送った。
「そうね、何かしら。とにかく、近くに行ってみない事には分からないわね。」
雛も同じく首を傾げたが、決断の早い彼女の次なる行動は早い。
決定すると共に足を踏み出し、ガラクタと化した四角錐の塔へ向かっていく。
「ま、待ってよっ。」
私も慌ててその背を追い、形だけは隣を歩む事に成功した。
近付けば近付くほど、四角錐の塔はヤバさを明らかにしていく。
「く、崩れないかなぁ?」
「今まで立っていたのだから、問題ないのではないかしら。」
不安丸出しで私が問えば、雛はさらりと返してくれた。
うん、根拠がない自信をありがとう。
そして光まで残すところ5歩、というところでそれは起きた。
突然目の前を何かが横切って行ったかと思った数瞬後、私達の目的そのものがなくなっていたのである。
嘘…、何?…あれ?どうして?
混乱する私。ここまで来て消えるなんて、冗談じゃないよ~。




