光る点01
私は塔を上っていた。階段ではなく、動く箱に乗って。
これ、エレベーターっていうんだよね。
こっちの世界にはない、科学の力。
そう思ってたら不意に視界が変わり、今度の私は塔を見上げていた。
高い位置にある頂上は爪楊枝みたいだ。
赤と白のカラーで、四角錐の建物。これは東京タワー、電波塔だったものなのよね。
って言っている間に、いつの間にか四角錐の塔がみすぼらしくなっていた。
えっと…、サビ?
全体的に茶色がかっていて、何故か少し傾いている。
「……、……。」
隣から誰かが話し掛けてくるけど、何故かその言葉は聞き取れない。
おかしな感覚。
だけどそれに反応するように、私の視界が塔の根元に向けられた。
「……、……?」
相変わらず話し掛けてこられているんだけど、私には聞き取る事が出来ない。
だいたいが、いつもと違って思い通りに動かせないもん。自分の身体じゃなくて、視界だけ借りている感じだね。
…って、あそこ。何か光ってるんだけど。
ほら、そこっ。…あ~っ、そうじゃなくて!
思う方向と違う景色を見せられ、私は内心で叫んだ。
本当は自分が動いて行きたいんだけど、今の私は自らの意思で自由にならない。
「…っ。」
あれ?
瞬きを繰り返し、寝入る前の木製の天井と同じだと認識した。
心の中で暴れている間に、私は夢から覚めてしまったらしい。
う~ん…、寝た気がしない。
宿屋のベッドの上、外では賑やかな子供達の声が聞こえる。
「唯、起きたの?」
窓際で文献を見ていた雛が、起き上がった私に気付いたようで、問い掛けてきた。
「うん…、また夢で起こされたよぉ。」
少しボウッとする頭を抱えつつ、私は唇を尖らせる。
「目的地が近いからかしら。頻繁よね。」
文献を閉じて私に歩み寄ってきた雛は、優しく頭を撫でてくれる。
うん、気持ち良い。
今はまだお昼前で、私は既に3回目の惰眠を貪っていた。しかしながら結果的には、全くと言って良いほど睡眠をとれていない。
ウトウトと眠りにつく度、私は誰かの思いに引き摺られて過去に飛ばされた。
この心眼という能力、無駄に呪いかがっていないだろうか。




