心の声 04
ふわりと笑みを溢す雛。
「唯は気付かなかったのかしら?場所を移動するごとに、その土地に縛られているモノ達の声を聞いているのにね。」
綺麗な笑顔とは違い、何故か言葉が刺さるのは気のせいかな?
「えっと…、家でも夢は見てたよ?」
戸惑いつつも、私は言い返してみる。
そう。何処にいても、私に訴えかけてくるモノ達はいた。
いや…そうかと言って、私には何も出来ないんだけどね?
「家にいる時に見る夢は、ほぼ同じ登場人物達だったわよね。たまに違う登場人物の時は、集落に冒険者等がいる日。何処かに立ち寄った人から、違う何かの存在を感じているようだったわ?」
笑顔で淡々と語る雛だった。
何だか怖いよ、ゴメンね?
それよりも、私が訳も分からず話す夢の内容に、それほど意識を向けてくれているとは思わなかったよ。
って言うか、登場人物達?普段から複数だったのね?
「あの…、ゴメンね?」
「謝る必要はないわよ、唯。これは、磨けば特技になるわ?」
思わず謝罪した私に、雛はそれまでとは違った笑みを浮かべた。
うん、何を企んでいるのかな?
それに、特技って何よ。
「肉体を持たないモノの声を聞く唯は、その知識と経験を得られるのよ?」
「って、全く分からないんだけど…。」
「だからね、唯。四角錐の塔が近いという事よ。文献の地図がなくても、唯には旧世界を感じ取る事が出来るという証拠。」
雛の言葉の意味が分からなかった私に、噛み砕いて教えてくれる。
…それって、凄くない?
その都度、夢見をしないといけないのが難点だけど。
「という理由で、暫くここで情報を集める事にするわね。」
「あ…、うん。何か良く分からないけど、私の心眼が役に立つかもしれないんだね?」
「そうよ、唯。かも、ではないのよ?凄いわね、本当に。という事で、町に行って情報を集めてきてくれる?」
凄く良い笑顔で告げる雛。
うん、そうなるよね。
私はいつものように、上げて落とされた感じ。
でも雛は極度の人見知りだから、情報収集なんて出来ないもん。分かってる、私の仕事だって。
「美味しい食事を用意して待ってるわね?」
「うんっ!」
ニッコリと微笑む雛に、私も満面の笑みで返す。
はい、食べ物につられました。
良いもん、私は雛のご飯が大好きだもんっ。
意気揚々と出掛けた私は、宿の外でやっとその事に気付くのだった。




