心の声 03
「ところで本題に戻るのだけれど。唯は声を聞いてしまう事に、嫌気は感じないかしら。」
急に真面目な顔で、雛が問い掛けてくる。
えっと…、嫌気?
私は内心で思った言葉通り、首を傾げてしまった。
「あら、問題ないのならば良いわね。」
答えを聞いたかのように、安堵する雛。
うん、何の事だか分からないや。
「えっと…、私の事?」
「そうなのだけれど、唯の反応から答えが出たようなものだから、もう良いのよ。それで今回の声は、唯に恐怖しか伝えて来なかったのかしら?」
疑問符を浮かべている私をよそに、何故か結論を見出だしたような雛だった。
まぁ…雛が困っていないのなら、私も特別支障はないんだけどね。
ところで、新たな問い掛けがなされた。
えっと…、声の伝えたい事?
「大地が割れ、海中に投げ出された。」
瞬きを繰り返して首を傾げる私に、淡々と先程の夢を語る雛。
あ、思い出した。物凄い恐怖と、悲愴感。
私は自身の身体を抱き締め、ブルッと身震いをする。
「その前後はどうかしら?何処にいたのかしら。それとも、何処かに行くつもりだったのかしら。」
「あ…、見たよ?…私、知ってる…。」
ヒントを与えるように、雛はゆっくりと呟いた。
私はその言葉を受け、夢の細部を思い出す。
そう、彼はあの時を楽しく過ごしていた。最後のインパクトが強すぎて霞んじゃったけど、ちゃんと思い出せる。
「うん…ビルがたくさんあって、人がたくさんいる場所にいた。」
「ビル…って、石で出来た高層の建築物の事よね?トゥキョ、と言うのだったかしら。」
私の足りない言葉から、雛が推測した。
昔から私が色々と話して聞かせたから、雛は旧世界の土地の名を知っている。
「東京、だよ。」
「それね。そのトゥキョには、四角錐の塔があるのかしら?」
苦笑混じりに土地の名を告げると、思ってもみなかった事を雛から突き付けられた。
あ…、そうだ。
東京には、東京タワーがある。四角錐の、塔だ。
「ある…、あるよっ。東京タワーって言うの!」
私は半ば叫ぶように答える。
でも雛は、初めから知っているかのようだった。
そしてヒントを出してまで、その答えに私を近付けさせてくれる。
「…うして…、どうして雛は知っているの?」
不思議だった。とても。
私は真っ直ぐに疑問をぶつけた。雛なら、ちゃんと問い掛ければ、答えてくれる気がするから。




