心の声 01
「…っ、…はっ。」
溺れたように大きく息を吸い込み、飛び起きる。
ビックリした。本当に。
「大丈夫、唯?」
余程私が睡眠妨害だったのか、隣で寝ていた筈の雛が声をかけてくれた。
汗だくの私は、全速力100メートル走をしたのかと思う程。心臓がバクバクと高鳴り、煩いくらい。
「だ…、大丈、夫…っ。」
「いつもの、夢かしら?」
喉がカラカラで、雛の問い掛けに上手く答えられない。
私は首肯する事で、必死に伝えようとした。
「はい、お水よ?」
枕元に置いてあった水差しから、コップ一杯の水を差し出してくれる雛。
ありがとうってお礼を言いたいけど、私は頷いて一息にそれを飲み干す事しか出来なかった。
けど、今日の夢は凄く激しかったよ。
「唯?」
大きく息を吐き出していると、心配そうな雛の声が聞こえる。
あ、私、まだ安心させていなかった。
「うん、ありがとう。もう大丈夫だよ、雛。」
「良かったわ…。」
私の浮かべた笑顔を見て、やっと肩の力を抜いてくれた雛だ。
「それで、今日はどうしたのかしら?とても苦しそうだったのだけれど。」
雛が表情を僅かに暗くする。
私の能力を知っている彼女だからこそ、不本意ながら巻き込まれ体質な事を心配してくれるの。
「うん、今回はちょっと激しかったよ。大地が割れて、足元が崩れちゃってね。」
いつものように、平気な振りをして雛に夢の内容を話した。
私は普段の意識がある時は大丈夫なんだけど、眠ったりボンヤリしていたりすると、突然周囲の知らない存在の記憶を読み取ってしまう。
取り憑かれるのとは違うんだけど、そのモノ達の強い記憶を焼き付けられる…みたいな。
だから特に多いのが、死因となった過去の事実の仮想体験。
今回の私は30歳くらいの男の人になってた。
そして空が激しく光ったかと思った次の瞬間、隕石のように上から大きな光る塊が落ちてきたの。
大慌てで周りにいた人達と逃げ出すんだけど、走っている筈の地面が突然、支える力をなくしたみたいに崩れていく。
これ以上走れないってくらい走って、胸が苦しくなっていたところでそれでしょ?もう、パニックどころじゃないよね。
しかも崩れ落ちた先は海。塩っぱいとか分からなくて、ただ苦しくて、口から入ってくる水を吐き出す事に夢中で。
でも息が出来なくて、落ちた時におかしな方向に曲がってしまった右足が邪魔で泳げなくて。
私にとっては仮想体験でも、そのモノ達の実体験だから。
本当に苦しかったよ。




