魔物との遭遇 04
「街道が無事で良かったね。」
気を取り直すように、明るい声音を心掛けつつも、私は雛に笑顔を向ける。
「そうね。魔物避けの結界が壊れてしまったら、またお父さん達の仕事が増えるもの。」
「そうだねぇ~。」
私達はその場でウフフ、アハハの会話をしていた。
そう。その場とは、魔物の残骸の散らばる前で、という意味である。
「唯。そろそろ、現実逃避はやめようかしら。」
「…やっぱり?」
そこそこ話をしたのだが。不意に雛と顔を合わせ、これ以上の継続を断念する事にした。
何故ならば冒険者たる者、討伐した魔物の後始末も仕事の内だから。ううん、やらない人もいるけどね。
私達はまだ冒険だけで生活してないけど、いずれは親元を離れなければならない。仕事には責任を負うべきよね?
「とりあえず、先程の魔物が残したアイテムを集めないとならないわね。」
雛が視線を私の後ろへ向ける。
うん。そこにあるよね、色々。
私も内心嫌々だけど、背後を振り返った。
「…回収、しないとねぇ。」
溜め息をつきつつ、私は周囲を見渡す。
うん、特別に水に濡れてはダメな物とかないよね?
「星ノ魔法、召喚…宝瓶宮っ。」
私は雛を背に守るように立ち、宝瓶宮の水瓶を呼び出した。
この水瓶は名の通り水を操る力を持ち、飲み水はもちろん、攻撃にも使える便利ちゃんなの。
「この辺りを綺麗にしちゃって~。あ、威力は弱めで、洗い流す感じで宜しくねっ。」
私の難しい要求に、水瓶から了承の意思が返ってくる。そして一拍おいて噴水のように上がる水。
そしてまだ雛の風の防御壁があるから、私達のいる場所には水が全く来なかった。
「便利ね、唯の魔法。召喚する星座によって使えるエレメントが違うから、使い分けが難しい分、利点が多いわね。」
「う~ん、そうかなぁ?私の場合、1回に一体しか出せないけどね。それでも、彼の者達が協力してくれるから、私の魔法が成り立つんだけど。」
雛が誉めてくれるけど、私にとっての魔法は星の力を借りている感じなの。
そうこうしている間に周囲が洗い流され、魔物の血肉は綺麗さっぱりなくなった。
「さすがよね、唯。魔物討伐と街道の掃除もしてしまうなんて素敵だわ?」
「アハハ、単に私が触るの嫌なだけなんだけどね。」
綺麗な笑顔を見せてくれる雛。
けど、私はそんなに良い子じゃないのよね。
アイテムが欲しくないなら、そのままにしちゃう事だってあるよ?
だから、自分の為だもの。




