いよいよ上陸01
「あれ…、何かしら。」
座り込んで疲れを癒す私に、雛が小さな声で問い掛けてくる。
同じ様に全員で海底にお尻を下ろしているのだけど、手を繋いだ状態で背を合わせるように輪になっていた。
「ん?何処?」
今は悠希の障壁ノ魔法 ──絶対防御を周囲に張り巡らせているから、危険なものは接近すらしてこない筈。
私は雛の言葉に、視線を巡らせるように彼女の指し示す位置を確認する。
「ん?」
「分かる?岩影に隠れてはいるけど、何か光っていないかしら。」
そして雛の告げた先──大きな岩の隙間に、ポツリと赤い光が見えたのだ。
この辺りの海底は光があまり差し込まなくて暗い為、時折視界を魚が通り過ぎても光は目立つ。
そしてそれは胎動するかのように瞬き、けれども移動する事なく停滞していた。
「ミセランさん。雛の前方にある岩に近付きたいんだけど、良いかな?」
「ん~?何か見つけたのかい?」
私の声に、少し首を伸ばしてミセランさんが近付く。
「おい。それ以上、唯に近付くな。」
でも、低い声で悠希が警告を発した。
何だろうね、本当に怒りっぽいんだから。
「はいはい、ゴメンね悠希君。じゃあ、皆で一斉に立ち上がるよ?」
「うん。」
両手を繋いでいるミセランさんと私は、左右の人と合わせないとバランスを崩してしまう。
悠希と雛は片手が自由な分、攻撃担当でもあるのだ。
「どれどれ?あぁ…、良いのを見つけたね。これ、仕掛けらしいよ?」
「大丈夫かよ、勝手に触って。」
「大丈夫だよ、多分。」
「多分って…。」
にこやかなミセランさんに変な敵対心を持っている悠希は、いちいち刺々しい反応を返す。
でも話が先に進まないから、勘弁してほしいな。
「少し危険かもしれないけど、どうする?ちなみに俺は両手が塞がってるんだけど。」
そうしてミセランさんは全員に視線を向けた。
でも、内容的に悠希に言っているようにしか聞こえないんだけど。
「…素直に、俺に頼むって言えないのかよ。」
悠希も同じ事を感じたらしく、ムスッとミセランさんを睨み付けた。
それでも素直にお願いしたって、絶対文句言うよね?
「仮にとは言え、俺達は仲間だからね。自主的に挙手してくれると、俺は思っているよ。」
良い笑顔を見せたミセランさん。
それとは対照的に、苦い顔をした悠希である。
現状を分かってはいるのだろうと、私は思った。──自分の子供っぽい態度も、都度食って掛かっている事も。
うん。理由までは分からないけど、もう少し柔らかく接してほしいよ。




