接近しようにも05
周りを取り囲む水が暴れている。
少し前方に切り立った岩が見え、これが話に聞いていた海底から突き出し船底を削る障害なのだと分かった。
「凄いね…。」
呟いたミセランさんの声に、私は思わず頷く。
海底を歩いている私達ですら、荒れる海の力に先へ進めずにいたのだから。
「…どうするんだよ。」
相変わらずの不機嫌丸出しで悠希が問い掛けた。
勿論、ミセランさん相手に。
「この島は、昔から外部からの侵入を拒んでいたらしいからね。恐らく、中に入る方法はあるのだと思うけど。」
「島の周囲を回ってみる?」
このまま荒れ狂う海面を見ていても仕方がないと、私は一つの提案をする。
皆はそれに対し、仕方無さげに頷いた。
けれども、これがなかなかに大変だったのである。
「も…、休憩しよ…っ。」
息も絶え絶えに私が告げたのは、これが初めてではない。
もう何度目かになるこの言葉に、悠希が口をへの字に歪めた。
「唯。お前、いい加減にしろよな?」
「だ、だって…。」
思い切り不機嫌さをアピールしなくても、私だって分かってはいる。
実はこの辺りの海底、平らではないのだ。
それこそ山の裾野のようになっており、思い切り斜面である。しかもゴツゴツとした岩肌で、足場は最悪だ。
「体力無さすぎだろ、ったく。」
「ゴメンね、唯ちゃん。俺の魔法にもう少し効力があると良いんだけど、四人同時に効果を反映させているからかいつもより弱いんだ。本当にゴメン。」
怒る悠希。
その間で頭を下げるミセランさんに申し訳ない。
「ごめんなさい、私のせいで…。」
シュンと項垂れる私は、ミセランさんの向こうで複雑な表情をしていた悠希に気付かなかった。
「けれども四人で行動しなければならない以上、弱者に合わせるべきだと私は思うわ?」
「そうだね。四人一緒でないとならないのだから、一番小柄な唯ちゃんに合わせる事は仕方がないと、思うよ。」
言い方はどうであれ、喧嘩腰の悠希を宥めている雛。追従する形でミセランさんからのフォローが入る。
「ったくよぉ。そう言う言われ方すると、俺だけが悪者じゃないかっ。」
「ゴメン、悠希。」
思い切り不貞腐れた悠希だったが、私が上目遣いで謝ると何故だか顔を背けられた。
耳が赤く見えるのは、気のせいだろうか。
「さて。悠希君も異論はなくなったようだから、ここで休憩しようか。」
「ゴメンなさい、ミセランさん。ありがとうございます。」
私は申し訳なくて何度も頭を下げるが、ミセランさんはにこやかに笑うだけだった。
謝意だけでは先に進めないって分かってる。けど本当にゴメン、皆。




