海の向こうなんて02
軽食を取った後、三人で町へ向かった。
そこそこの港町のようで、活気があって人々が元気だ。
「はあ~ん?あの海向こうの島に行きたいって?無理だな、それは。」
「そうだな。俺達は日々の暮らしで魚を海から分けてもらっているが、あの島には近付いてはならないってのがここの掟だ。」
「ワシ等も出来る事なら連れていってやりたいが、あの島だけはダメだ。近付こうものなら、海底から切り立った岩で船底を削り取られちまう。」
口々に渋い顔で断りを入れてくる人達。海の男らしく、こんがりと日に焼けた筋骨隆々の大柄な体躯をしている。
子供か下手したら孫にしか見えない私達に対し、申し訳ないと困らせているこちらが申し訳なくなってきた。
「分かりました。無理を言ってすみませんでした。」
「もう少し自分達で探してみます。ありがとうございました。」
私と悠希で彼等に礼を告げつつ、三人でその場を離れる。
勿論雛は人見知り発動中で、私の背後でずっと固まっていた。
「案外、簡単にはいかないようだなぁ。」
「そうだね。って言うか、皆が船で近付くのが危険っていうもん。どれだけ断崖絶壁なのって感じだよね?」
「冒険者の宿に行ってみた方が良いかもしれないわね。」
周囲に人はいるが、それぞれが忙しそうに動き回っている。町の人口は多くはないようだが、それだけ商売で訪れている人が多いのだろう。
そこで私達は、冒険者の宿に行く事にした。
幸い、港から程近い場所に冒険者の宿を見つける。良くある木造建築だが、ここは宿泊施設が広いのか三階まであった。
「大きいな、ここの冒険者の宿。」
「そうだね。これだけ大きなところなら、海に出る為の船を貸してくれる依頼とかがあるかもっ。」
私達は冒険者の宿に入り、掲示板を確認する。
依頼に必要なアイテムを貸してくれる場合もあるので、海の依頼を探す必要があった。
「う~ん…。海の依頼はあるにはあるけど、波打ち際って言うか。」
「だな。陸地から何とかなりそうなものばかりだ。」
私と悠希は、二人して掲示板と睨めっこをしている。
様々な依頼があるものの、掃除や荷運びといった手伝いや町の外の魔物討伐ばかり。海の関連になると、指定の魚を入手するものくらいなのだ。
「何でこんなに依頼が偏ってるんだ?」
「それは、俺がその殆どを受け持ってるからだ。」
悠希の問いに答えたのは、突然背後に現れた男性である。
センスの良い眼鏡にツンツンと尖らせた髪。中肉中背で色白だけれど、明らかに魔力の気配が強い人だった。
悠希より背が高くて、見るからに大人な感じの人だよね。




