いきなり戦闘で05
そんな事があったものだから、移動した私達は真っ先に結界を張った。─勿論悠希の障壁ノ魔法、絶対防御でね。
ここは昼食場所から半日程歩いて、町からはまだ少し距離がある平原。さっきの場所から魔法でビューンと移動すると、下手したら科学者に魔力を辿られるからって事で徒歩だったのである。ふぅ、クタクタだよ。
「疲れた~。雛、甘い物がほしいよぉ。」
「そうね。夕食の支度まで少し待ってもらわないとならないから、このプラムを食べていると良いかしら。」
以前大量に買った果実をマジックバックから取り出す雛。
うん。彼女のマジックバックは本当に何でも袋だよね。見た目に惑わされてはならない、物凄い改良済みなんだもん。
「ありがとう~。」
「御門さんはいかがかしら?」
「あ、俺はいらない。雛乃の夕食の方が楽しみだからな。それより唯、夢の話はどうなったんだ。」
雛からの誘いを男前に断りつつ、悠希が真っ直ぐ私に視線を向けた。
けれど私は─。
「ングングング…。」
「あ~…、食べてからで良い。」
もらったプラムを早速齧っていた私は、悠希の問い掛けに答える事が出来ない。
甘くて美味しいプラムは、果汁の多さが売りなのだ。口を開けば溢れるのだよ。
けれど、悠希から物凄い呆れた視線を向けられたのが地味にショックである。
「えっと、石の顔はモアイ像って言うんだけど。」
「モア?」
「モアイ像ね。文献によると、絶海の孤島ラパ・ヌイに800体以上ものモアイ像が海を背にして立っていたとなっているわね。」
私の言葉に小首を傾げる悠希だけど、雛はすぐに反応してマジックバックから複写文献を取り出して広げてくれた。
「へぇ~。って、800?それでもって、デカ!」
悠希は文献を見ながら、一体のモアイ像の大きさに驚きを隠せないでいる。
ちなみに、分りやすく人の絵が並んで描いてあるのだ。
「そう。これがたくさんね。」
現在はどのくらい残っているか分からないものの、東京タワーや凱旋門が形として存在していたのである。元々の数があれば尚更、実際に見られる確率は高いだろう。
「で、今度はそれが呼んでいるって訳か。」
悠希も慣れたもので、私が心眼を通して夢に見たものが世界の欠片を有していると気付いているのだ。
「そう言う事だね~。」
「でも、大丈夫かしら。」
当たり前のように応対する私と悠希に対し、雛は慎重な姿勢を崩さない。
冷静に物事を判断する彼女は、憶測だけでは動かないのだ。
本当に同い年かって疑問に思うくらい凄い。




