いきなり戦闘で04
「で、何の夢を見たんだ?」
突然話を戻してくる悠希。
そうそう。さっきそんな話をしていたよね。
「うん。長い顔の石がたくさん並んでいる島があって、その中の…。」
「はい、ちょっと待った。」
話している途中で、何故か悠希が片手で私の言葉を妨げた。
何よ、いったい。なんて、少しだけむくれてしまった私だけど。
「えっ?何?」
「セイッ!」
いきなり悠希は、腰に佩いた剣を抜いたと思ったら、突然一振りした。
それには雛も私もビックリで、思い切り目を見開いて硬直する。だけどその直後、コロンとテーブルに落ちてきた塊にギョッとした。
「…科学兵器。」
「そのようね。」
親指の爪程の大きさで、黒い金属質の物体。悠希のさっきの攻撃で二分されている。
小さな虫をイメージして作られたようだけど、何でこんな所に?
「偵察機だ。…ヤバいな。科学者の野郎、本気で情報収集に乗り出したみたいだぜ?」
私の疑問に答えるように、苦い顔をして悠希が告げる。
偵察機。相手の動静をこっそりと探る事を任務とした科学兵器だよね。
「これって、私達がつけられてるって事かな。」
「どうかしら。まだ身元が知られる事はなかったと思うけれど。」
「さあな。けど、警戒しておいた方が良いな。何度か直接科学者の邪魔もしてるし、男女3人組って当たりをつけているかもしれないしな。」
戦々恐々する私達だけど、悠希はさすが男の子。怖がっている様子がない。
まだハッキリとした根拠がないけど、狙い打ちされるのは勘弁してほしいよ。
「そのようね。では、ここはすぐに移動しましょう。これからは結界を張って休む事にした方が良いみたいね。」
「そうだな。じゃあ、そうと決まれば撤収だ。おい、唯。呆けてないで動けって。」
「え…っ。わ、分かってるよっ。」
手際よく雛と悠希が開始した片付けを他人事のように見ていた私だけど、悠希に突っ込まれてしまった。
けど何だか、二人の息の合った動きに圧倒されちゃって。それでいて胸の真ん中辺りが─もやっとする?
いやいや、そんな事はない筈。たぶん、悠希に偉そうに命令されたのが嫌だったんだな、私。
自分に結論付けた為か、その後はいつも通りの私でいられた。
って言うか、休憩していた場所は魔物討伐の拠点から僅かに離れた場所。あの時最後に私が放った魔法で、低木森林にハゲが出来たままである。
「あれ、元に戻るかな?」
「大丈夫よ、唯。人のハゲは治らない可能性が大だけど、森は強いから。」
ニッコリ笑顔で、雛は全世界のハゲを敵にまわした。
「雛乃は相変わらず笑顔で毒吐くよな。こえぇ~。」
ギョッとした私に反して、悠希はケラケラと笑っている。
君、本当にハゲたら笑っていられないんだからね?




