いきなり戦闘で03
「ぅわっ!」
「っ、ビックリした~!」
目を覚ました私の声に、背を向けていたと思われる悠希が振り返り様に返してくる。
うん、ゴメン。わざとじゃないんだけど、あまりにも夢見が悪くて。
「大丈夫?唯。」
心配して顔を覗き込んでくる雛。スープでも作っていたのか、鍋を火に掛けていたようだ。
良い匂いまでしてくる。
「うん、大丈夫。えへっ、魔力使い過ぎちゃった。」
照れたように笑い返すと、少しだけ呆れた表情をされる。
怒りたいのもあるだろうけど、それを口に出さずに留めておいてくれる雛。ゴメンね、本当に。
「よし。唯も起きた事だし、食事にしようぜ?」
「そうね。身体を休める事も大切だけど、十分な栄養も取らないとならないわ?」
「あ、うん。お腹ペコペコ~。いっただきま~す!」
それ以上二人共何も言わないでいてくれたので、私もすぐに食事にありつけた。
太陽が二つ並んでいる空を見る限り、まだお昼頃なのだろう。
「唯、夢を見ていたのよね?」
「えっ?分かるの、雛?」
「いや、俺も知ってる。唯、ブツブツ寝言言ってたぞ。顔の長い石とか、帽子を被ってるのがとかさ。」
雛に言葉に驚くと、隣に座っていた悠希から半分呆れたような返答が返ってきた。
ヤバいよね、私。心眼で感じ取っちゃうのは仕方がない事だけど、寝ながら喋るって女の子としてどうなの。
「大丈夫よ、唯。寝言が多いからって、変人認定はされないわよ。」
「ズドーン!…沈んだよ、私っ。」
雛の言葉にテーブルに伏せる私だ。
変人…、皆にそう思われたらどうしよう。
「大丈夫だ、唯。変態は嫌だが、変人くらいなら許容範囲だぞ俺。」
「御門さん。あまり慰めにはなっていないように思えるけれど。」
「うぅ…っ、酷い。悠希も雛も、何気に私を落として踏みつけているのねっ。」
二人の慰めにならない言葉に泣き真似をしつつ、私はしっかりとご飯を食べて両手を身体の前で合わせていた。
「なぁ、唯のそれ。祈るなら分かるけど、少し違うよな。」
「ん?あ、これ?“ご馳走さまでした”っていう、食べ物に感謝の気持ちを表しているの。」
「旧世界の挨拶の一つなのよね。」
「へぇ~。俺も次からそうしよ~っと。」
何故か悠希までもが旧世界の挨拶をする事にしたらしい。
まぁ、私としてはどちらでも良いけど。あっちの世界もこの世界も、どちらも否定する気持ちはないからね。




