新たな友達01
「あの…、ゴメン。あたし、貴女達と友達になりたいのっ。」
勢い良くカボチャ兜を投げ捨て、私と雛に大股で歩み寄る。
思い切り素通りされた悠希は、剣を抜刀したまま唖然と固まっていた。
「え?」
「だから、えっと…唯ちゃんと雛乃ちゃんでしょ?あたし皐月、佐方皐月って言うの。お友達になってっ。そしてお姉さまと呼んで!」
いつの間にか両手を握られ、私は腰が引け気味になりつつ彼女を見上げる。
私より頭一つ分くらい背が高い。揺れる茶髪のポニーテールとお胸が視界にバーンと存在をアピールしてて、状況が分からず茫然としてしまっていた。
「ちょ…お前、少し放れろよっ。唯が困ってるだろ?」
「うるさいわね、男は黙っててよっ。」
「何だとっ。」
僅かに苛立ちを乗せた悠希の言葉に視線を彼に向け、私はやっとの事で再起動する。
「あ、あの…ちょっと待って。」
やんやりと掴まれた手を放すように促し、解放された両手で自分の頭を抱えた。
えっと…、このお姉さんは皐月って名前で、私と雛にお友達になってほしくって…。
順番に考えながら、視線を巡らせて雛の姿を確認する。やっぱりというか、当たり前のように私の背中に隠れて─隠れきれてないけどねっ─いた雛と目が合って。人見知り発動中の彼女も困惑している様子が映った。
「あのね、皐月さん。私達は旅人なの。ここにずっといる訳じゃないんだよ。」
私は一先ず、町娘ではない事を告げる。
以前出会ったカボチャ頭がこのお姉さんだとすると、彼女も町娘ではない可能性が高いのだが。
「うん、知ってる。冒険者でしょ?」
その軽い返答に、傍にいた悠希の身体に緊張が走った。
私達は冒険者である事をまだ明かしていない。冒険者を襲う盗賊もいるから、私達のような子供は特に気を付けなければならないのだ。
「あ、ゴメン。そんなに警戒しないでよ。前に魔物狩りしている所を見て、魔法を使うんだ~って思ったから冒険者かなって。」
パタパタと手を振り、その場の空気を拡散しようとする素振りを見せる。
うん。このお姉さん、只者ではない。
「だから何だっての。オネーサンには関係ないだろ?」
とりあえず刀は納めたものの、悠希からは全く警戒心が解けていない。
「男は黙っててっての。あたしは可愛い女の子が好きなんだから、アンタは要らない。シッシ!」
皐月さんはそう言うと、言葉通りの仕草で悠希に手の甲を向けて逆さに振る。
あぁ、本当に悠希…っていうか、男の子が好きではないんだなぁって思った。




