回収05
「…ここは無視して行こう。」
悠希の小さな呟きに、私も雛も静かに頷く。
意図の知れないカボチャ頭は、相変わらず陶器製の可愛くない兜と身体の線を隠す為の分厚いコートを羽織っている。
私達はその横を素知らぬふりして通りすがる。
と言うか、少しだけ迂回しようとしたのに近付いて来たんだけどね。
「あ~、無視しないで~。」
視線を極力向けないようにして歩き去る私達に、とうとうカボチャ頭が声を掛けてきた。
やっぱりと言うか、私達に用があるらしい。
「嫌だ。」
即拒否の悠希。だけど、カボチャ頭は全く引く気はない。
「そんな事言わないでよぉ。」
「うるさい。顔を隠しているような奴の話など、聞く義理もない。」
スパンと切り捨てる悠希の言葉に、カボチャ頭はヒラヒラと両手を前に出したまま振っていた。
いったい何をしたいのか分からないものの、敵意を感じないのは見た目の問題なのか。
「ごめ~ん…、そうだよねぇ?う~…、そうだよねぇ…。」
何かを迷っている様子のカボチャ。くぐもっている声は、やはり女の子なのだろう。
でも、正体を隠す理由は相変わらず不明だ。
「友達になってほしいだけなのに~。」
呟きながらも後をついてくるカボチャに、とうとう悠希が牙を剥いた。
「うるさいぞっ。それ以上近付くなら、問答無用で叩き切る!」
左腰に佩いている剣を抜刀し、すぐにでも攻撃に転じる事の出来るようにカボチャに向き直る。
これ程までに他人に敵意を向けている悠希を、科学者以外で初めて見る気がするけど。それでも彼なりに私と雛を守る意思とか、彼の中の正義とかに反するんだろうな。
そんな風に私はボンヤリと見てたけど、実際に刃を向けられたカボチャ側はそうのんびりしてられない。
「ま、まままま待って~。ほ、ほほほ本当に怪しい者じゃないから~。」
慌てて自分の頭─正確には被った兜に手を掛ける。
余程焦っているのか、ジタバタと大きな頭を押さえてもがいている様にしか見えなかったりするけど。
そして漸く、ポンと音がしそうな程の勢いで頭を取った元カボチャ。ふわりと長い髪が肩に落ち、プルプルと犬のように顔を左右に振った時にハラハラと茶色の髪が舞った。
やっぱり、女の子だったじゃない。しかも、ポニーテール。しかもメロン。
カボチャ兜を取る時に分厚いマントの下が顕になって、明かに私や雛より年上の、大きなお山が二つ突き出した派手な服装がさらけ出される。
凄い…。ボーンって、軟らかそうな…。あ、悠希の視線もやっぱりそっちに釘付けだよね。




