回収04
「どうしたの?唯。」
「うん…。」
「世界の欠片を集める事に罪悪感を感じるようになった、かしら。」
雛は私の心の機微に敏感だ。こちらが何も言わなくても、自ずと察してくれる。そしてそれは、とても鋭い。
私達三人は今、近くの町に向かって歩いている。一番前を悠希が行き、その後ろを二人して並んでいるのだ。
雛は私にしか聞こえないような小声で話し掛けてきているので、前を行く悠希にはこの会話は聞こえないだろう。
「…少し、ね。また壊しちゃったな~って、思っちゃうんだよね。」
そんな彼女に隠し通せる筈もなく、私は素直に内心を吐露する。
「そうね。けれど、旧世界はこのままここにいたいものかしら。この世界に散々になってしまったまま、誰にも知られる事なく朽ちていくなんて、私ならとても悲しくて泣いてしまうと思うわ?」
目を伏せて優しく告げる雛の言葉に、私は自分の事しか考えていなかったと気付いた。
そうだった。旧世界は本来、ここではない別の場所で1つであった存在なのである。
世界の存在的に家族などといった感覚とは考え方が違うだろうけど、それでも1つであったそのものがバラバラになる事は楽しい訳がない。
「そうだよね。ここに在りたいのなら、私の呼び掛けに応えてくれる筈もないか。」
「唯は星ノ魔法の素質があるから、星の気持ちに寄り添えるのかもしれないわね。」
「そっか…、そうだよね。ありがとう、雛。そっか…、うん。」
雛と話した事で、単純な私の気持ちはすぐに立ち直る。そして笑顔を向けた私に、雛もフワリと微笑んでくれた。
「何だよ、二人して。何か良い事があったのか?」
悠希がそんな私達に気付き、振り返りながら問い掛けてくる。
思わず雛と顔を合わせ、私は笑顔で返していた。
「内緒~。雛と私の秘密だも~ん。」
「何だよ、俺だけ仲間外れかよ?」
「残念だったわね、御門さん。」
「雛乃まで…。くそぉ~、こうなったら………。二人とも気を付けろ。」
じゃれあっていた空気が急に張り詰める。
悠希が前方を警戒している事を受け、私は彼の視線の先を探った。
ドキリとした。恐怖とは違う、得体の知れないものに対する不安。
そこに現れたのは、カボチャの兜を被った何者かだった。
あの時、自由の女神を示したカボチャ頭である。それがまた私達の前に現れたのだ。




