回収03
「無事に世界の欠片を手に出来たようね。」
「うん、3個目だよ。」
「早いとこ移動しようぜ。唯も疲れてるみたいだし、俺は腹へったし。」
ホッとしたように柔らかな視線を向けてくれる雛に、私は事実だけを告げる。
悠希はリーダーシップをとりたいのか、既に先頭に立って指を差していた。っていうか、何処に行く気なのかな。
「御門さん。次の目的地はそちらではなくてよ。だいたい、来た方角に戻ってどうするつもりなのかしら。」
「あれ?こっちじゃなかったか。んじゃ、あっち?」
適当に告げただけなのか、軽く笑いながら違う方向を指差す。
「地図を見て正確に指示してほしいものよね。唯が疲れているのなら、この近くの町が良いと思うのだけれどどうかしら。」
そんな感じで悠希に突っ込みを入れながらも、雛は私を気遣ってくれた。
たぶん一人で待っている間に、色々と次の目的地なんかを決めておいてくれていたんだと思う。
「うん、そうしよっか。」
「分かったわ。それでは御門さん。聞いていらしたと思うけれど。」
「え?あ、お、おぅ。んじゃ、そこに向かうとするか。ってか、疲れてるんだよな。魔法でちょちょっと行くか?」
すぐそこまで買い物的な言い方の悠希。
でも待ってよ、本当にすぐそこに科学者がいるんだけど?
「あら、御門さんは随分と浅はかな考え方をなさるのね。大きな魔力を使えばすぐ近くにいる科学兵を嬉々として呼ぶ事に繋がるのだけれど、何か別の良案があっての事かしら。」
笑みを浮かべながらも、瞳は笑っていない雛だった。これ、随分と怒ってる感じがするんだけど。
っていうか、さっきから悠希に対する口調が鋭いもん。
「な、何で雛乃は怒ってるんだ?」
悠希は戸惑いを見せつつも、真っ直ぐ本人に問い掛ける。
うん、その勇気は凄いと思うよ。
「あら、私は怒ってなどいないわよ。ただこれ以上唯に魔力を使わせないで欲しいものだと希望を告げただけだわ?」
雛も視線を逸らす事なく、悠希の問い掛けに答えた。
二人とも、仲良くしようよ。
私は現実逃避気味に視線を自由の女神が建っていた場所に向け、更に気分が落ち込んだ。
そこにあの巨大な像はなく、未だ立ち上る砂煙と科学者の混乱と喧騒があるだけ。
私はまた、世界の遺物を壊してしまった。




