回収02
「簡単に手に入れるよなぁ、唯は。」
「えっ?そんな事ないよ。」
「けど、誰にでも出来るって感じじゃないだろ?」
「それは…、分からないけど…。」
悠希の言葉を一度は否定しつつも、唯自身この原理が分かっていない。
何故欠片同士が呼び合うのか、何故自分の手元に来てくれるのか。もしかすると唯にだけではないかもしれない。世界の欠片はあんなにもたくさんあるのだからと、先程脳内に浮かんだ光の数を思い出した。
「まぁ探す手間も省けるし、俺的には問題ないんだけどな。さてと、急いでずらかろうぜっ。この女神像もいずれ崩れ落ちるだろ?」
「あ、うん…たぶん。」
悠希に促され、私は手にしていた世界の欠片をマジックバックにしまう。
東京タワーも凱旋門も、世界の欠片をその物から移動したら崩れ落ちたのだ。正確には、本来の時間を経過した姿になっただけなのだろうが。
それでも私には罪悪感が残るし、今でもこれで良いのかと不安にもなる。堂々巡りになるから口には出さないけど、事実だけを言えば旧世界の遺物を壊して歩いている事になるからだ。
「どうした、唯。元気ないぞ?」
雛が待機している場所まで歩く途中、悠希が私の顔を覗き込むようにして問い掛けてくる。
何でこんな時だけ鋭いのかな。
「何でもないよ。魔法をたくさん使ったから、少し疲れただけ。早く宿で横になりたいな。」
「おぉ~、そうだな。今晩は何を食べようかな~っ。」
私のその場を取り繕ったような言葉を信じたのか、悠希は宿で食べる夕食に頭が行ったようだ。
私ももう少しシンプルに考えられれば良いな。
どれくらい私達が歩いた頃なのか、背後で大きな崩壊音がする。同時に科学者達の慌てたような声と、罵声や怒声も聞こえた。振り返ると、砂煙が確認出来る。
「頃合いが良い。すぐに崩れると、最悪あの場で戦闘になっただろうからな。」
悠希は凄く良い笑顔で独りごちる。
本当に科学者嫌いなんだから。少しは怪我人の心配とかしないのかな。しないか。
「あ、雛乃だ。心配しすぎて、隠れてはいられなかったのか?」
悠希の声に前を向くと、確かに大きな岩の隙間からこちらを伺っている雛が確認出来た。
「そうみたいだね。でもまだ大声を出す訳にもいかないから、もう少しだけ我慢だね。」
「おぅ。」
二人で頷き合い、着実に雛へと歩み寄っていく。
歩けば進む。考えても始まらない。年月が経てば成長する。悩んでいるだけでは何も変わらない。
私は自分の中の迷いを知った上でそう結論付けた。




