回収01
自由の女神の傍まで、何の苦労もなく近付く事が出来た私達である。それはもう、唖然とするくらい呆気なく。
「悠希…、こんなに簡単で良いのかな。」
「まぁ~…危険が少ない事は喜ばしい事なんだ。」
思わず問い掛けた私と、若干遠い目をした悠希は悪くないと思うんだよね。
今の私達は、周囲を警戒する科学兵から見えないように女神の足下にいた。
本当なら凄く目立つ筈の迷彩チックな装いも、サイズが合わなくてスッゴク手足部分の服が余った私も。ここでは普通の範囲内で、誰も咎めようとしない。
「おかしいの~。これじゃあ、いつでも襲ってくださいって言ってるみたいじゃない。」
「まぁそんなに怒るなって、唯。俺達としては、旧世界の欠片を集める事が現状一番の目的なんだ。そこに考えの浅い科学者達がいようとも、邪魔にならなければ問題ないと割り切ろうぜ?」
「そうなんだけど…。」
何故か慰められている感が否めない。
私はなぜ、悠希に微妙に宥められているのかな。いやいや、怒ってしまう私が悪いのかな?
一つ深呼吸をして気を取り直すと、私は腰部分にある小型のマジックバックに手を伸ばす。中を探ると、私の意思に反応して当たり前に手に触れるそれ。
いつもながら、意識するだけで欲しい中身を手にする事の出来るマジックバックは凄い。初めに作った人に深く感謝をしてしまうのだ。
ともあれ、私はマジックバックから二つがくっついてしまった世界の欠片を取り出す。
「これ、このまま使えるのかな?」
「あ~…、悪い。」
「あ、別に悠希を責めた訳じゃないから。」
そんなやり取りをしつつ、雪だるま状の欠片を見つめた。
透明な球体の中に東京タワーと凱旋門。今回の欠片は自由の女神である。
絶対にくっ付けたりはしないぞと心に誓いながら、私は世界の欠片を胸に抱いて自由の女神に触れた。
温かい。何故だか欠片は、物質として有り得ない温度を私に伝えてくる。
前回も思ったけど、これって旧世界の熱なのかな。生きてるっていう、生きようとしているって熱さなのかな。
そんな事を考えながら、世界の欠片を呼ぶ。
これらを集める事で旧世界を取り戻せるとは思ってないけど、この世界に散らばっていて良いものではないと思うから。
私の頭の中に幾つもの光が浮かんだ。手元に二つ、目の前に一つ。そして周囲に幾つもの輝きが見える。これが全て世界の欠片なのだと、漠然と思う。
集まりたいのだと訴えかけているようで笑みが溢れた。待っていてね、と心で告げながらゆっくりと目を開く。
自分の手の中には、いつの間にか自由の女神の輝きを宿す透明な球体があった。




