呼応 06
「大きい人は良いよね、簡単に言ってくれちゃって。勿論、折り曲げて着るよっ。」
言い返す言葉がトゲトゲしくなり、それこそ虚しい。
それに気付いて項垂れる私の頭に、何故か悠希の手が乗せられた。
「ん?何を怒ってるんだ?別に可愛いんだから、問題ないだろ。」
私が怒った事に対し、訳が分からないといった表情。
何、コイツ。無自覚でこの発言?怖いよ、どうするの。ってか、どうしたいのっ?
思わず雛に視線を向けると、彼女も同意見なのか、僅かに苦笑いを浮かべられた。
「もう良いよ。それより着替えるから、悠希はあっち行ってて。」
軽く溜め息をつきつつ、私は科学兵の服を一着手に持つ。
段ボールの中には何着か入っていて、多少の大きさの違いがあった。それなので一応、小さい服を取ったのである。
「あ、あぁ…。じゃあ、俺は向こうで着替えてくるからな。」
悠希も慌てて科学兵装を一着取り、こちら側から見えない場所へ移動していった。
「ねぇ、雛。これ、おかしくない?」
着替え終わった私は、どうしても困惑を隠せない。
すぐに脱げるように、着ていた自分の服の上から着たのだが。何故か着ぐるみっぽい。旧世界で動物を模した毛足の長い服をそう呼んだ筈だけど、私の今の装いも大して変わって見えないのだ。
「そうねぇ。唯は線が細いから、男の人の服は少し無理があったかしら…。」
少しだけ困った顔をする雛。
そんなに包み込んだ言葉を使わなくても、似合っていないのは分かってる。服に着られている感じがするのは、私だけではない筈だ。
「もう良いか?」
十分に時間を取った後、悠希が顔を出す。
恐らく彼の着替え自体は、随分前に終わっていたのだと思うけど。
「御門さん。唯を宜しくお願いします。」
ペコリと頭を下げる雛。彼女の黒髪が大きく揺れた。
「あ、あぁ、勿論だ。雛乃は安心してここで待ってろ。」
「偉そうに…。ほら、置いていくよっ?」
雛と悠希のやり取りに、私は少しだけ苛立ちを覚える。そのせいで、思ったより尖った声が出てしまった。
「あっ、待てよ、唯っ。何、怒ってるんだよ?」
私の背を追うように、慌てて悠希が駆けてくる。
いやいや、別に怒ってたりなんかしないからっ。
「悠希が偉そうだからだよっ。」
振り向く事なく、私は悠希に返す。
そうだよ、自分がリーダーみたいに言うからだよっ。私達の関係は、協力者の悠希ってだけなんだから。
そんな感情もあって、私は足音荒く自由の女神像に向かっていったのだ。




