呼応 05
「はいはい、そこまでにしておいてね?これって、犬も食わないってものかしら。」
呆れた言葉に引き離されれば、少し困った顔の雛がいた。
でも困った半分、楽しい半分に見えるのは気のせい?って言うか、犬も食わないのは夫婦喧嘩。旧世界の文献で見たよ。
「誰の事なの。」
「あら、唯には伝わったようね。良かったわ。」
思わずムッとして突っ込むと、笑顔の返しがあった。
これ、ヤバいやつだよね。
「ゴメンね、雛。」
素直に謝る。
喧嘩している場合じゃないよね。
「え…っと、俺も何か…悪かった。」
私は悠希に謝ったつもりはないけど、何故かか彼も頭を下げた。
仕方がない、許してあげよう。大人対応してあげるよ、私が。
「それで、どうするのかしら。二人で潜入?」
「あ…。」
雛に改めて問われ、私は思わず悠希に視線を向ける。どうやら彼も同じだったらしく、思い切り目が合った。
「俺も行く。」
「…まぁ、別に良いけど。」
私が何か言う前に、悠希が断言する。
うん。って言うか、私の意思も聞こうよ。別に一緒に行くのは嫌じゃないけど、何だかなぁ。
「それなら、次は方針ね。二人で行くなら、キチンと擦り合わせていかないとならないわ?」
「あ、うん。あのね、科学者の服を持ってきたんだ。これを着て行けば、即捕獲される事はないと思うんだよね。」
少しだけ不満げな私をよそに、雛が計画を立てていく。そこで私は、脱出する時に使った段ボールを指し示した。
自分の身体を隠す為もあったんだけど、ちょうど廃棄する予定の科学兵装備を見つけたんだよね。
なんて、ルンルン気分でいたんだけど。
「そうなの。それは良いわね。彼等の服装は顔も隠れる物だから…、少しばかり小さくても問題ないかも知れないわね。」
雛の一言に、私は固まった。
そうだった、忘れていた──いや、考えたくはなかったのか。
私こと唯は、13歳でありながらも小柄な─決して小さい訳じゃない─139センチの可愛い女の子。あ、自分で可愛いとか、言ってて虚しくなってきた。とにかく、科学兵の服が合うとは思えない。
「良いんじゃね?長けりゃ曲げれば着れるだろうし、問題ないだろ。」
ケロリとした顔で言い放つのは悠希。
彼は、私からしてみれば巨人だ。何しろ、私の頭頂部が悠希の胸辺りという身長差。
同じ男性の中では大きい方でもないが、…しかもまだまだ伸び代がある。
う、羨ましくなんて、ないんだからねっ。
文章訂正(2016,09,24)




