欠片の使い方02
「そろそろ、次の潜入に行ってくるよ。」
休憩をとった事で、魔法冷却時間も終わり、良い感じに疲れも癒えた。
「そうね。でも唯、くれぐれも気を付けて。」
茶器を片付けながら、雛が少しだけ困った顔をする。
心配してくれているのだと分かると、心がポワッと温かくなる。
「うん、気を付ける。」
「気を抜くなよ?」
「うん、分かってる。霊化ノ魔法…霊化。」
悠希にも声を掛けられ、私は真っ直ぐ彼の目を見て頷いた。
すぐに霊化ノ魔法を発動する。
そして肉体を霊体化させ、綿毛のように軽々と宙に舞い上がった。
二人に手を振りながらも、目的地へ真っ直ぐ、最短距離で向かう。
自由の女神は先程と変わらず、淡い光を帯ながら、物悲しく佇んでいる。
そりゃ、お腹の中で好き勝手されてちゃ、悲しくもなるよね。
思わず自由の女神に同情しながらも、自分のやろうとしている─その存在自体を消してしまう─事から目を逸らしたくなる。
でもそうこうしている間に目的地に到着。
今回も科学兵に気付かれる事なく、女神内部に潜入する事が出来た。
とりあえず、地下だよね。
先程見た科学者の実験場は、全てが私の初めて見る物ばかり。
不思議に光るベタベタした感じの物や、不気味な棘だらけの塊もあった。
そしてその中に、一瞬本物と見間違える程の、世界の欠片モドキがあったのである。
幾つかの角を時間短縮の為に突き抜け、目的地としていた実験場に到着。
部屋の中にいる5人の研究者と思しき科学者達は、それぞれが役割の仕事に熱中しているらしい。
心眼の能力で見た世界に、こんな機械とか表示画面とかあったなぁ。
あの時代はそれが当たり前で、逆に魔法とか魔物なんて存在がなかったもんね。
なんて偉そうな事言っても、私がその時代に生きてた訳じゃないんだけど。
さてと、私は科学者達の目的を調べなきゃ。
そして、脳内の残り時間を気にしつつも、周辺にある散らばった書類などを見て回った。
あ、今の私は霊体だから、重なっている紙を除けて下のを見る…なんて事は出来ないんだけどね。
うん、悠希の言った通り、やっぱり良くない事を考えてる。
彼等は…あ、時間がないや。
私は脳内の残り時間が赤く点滅してきている事に気付き、慌てて地下の研究室を飛び出した。
それでも、このまま雛達の所へ帰る時間はない。
あっ、ここで良いやっ。
私は使われていない備品庫のような部屋を見付け、そこへ飛び込む─というか、壁をすり抜けて通過する。
脳内の残り時間が赤く点灯した。
ぅきゃ~、間に合って~っ。




