欠片の使い方01
「偽の世界の欠片を作ってまで、何をしようとしているのかしら。」
「ふん。どうせくだらない事だろ。」
雛が顎に指を当てて考える素振りをすると、悠希が苦々しげに言い捨てた。
彼は科学者に悪感情を持っているから、全てにおいて悪い想像をするみたい。
「それがね…時間がなくて、その先を調べる事が出来なかったんだよぉ。」
私の霊化の魔法は、制限時間が短すぎる。
簡単な潜入調査なら可能だが、詳しく1度で調べきる事は困難だ。
「だから、もう一回行ってくるよ。今度はもっとたくさん、情報を持って帰ってくるね?」
「待って、唯。すぐには、無理ではないかしら。」
「…あ。」
すぐにでも霊化の魔法を発動しようとしていた私だけど、雛に止められて気付く。
そうだった。解除後、すぐには同じ魔法を発動出来ないんだったよ。
「何だよ。魔法冷却時間が必要なのか?」
「ん~…。精神及び肉体変化の負荷軽減の為、かな。」
腑に落ちない表情を隠さない悠希に、教科書通りの返答をする私だった。
けど、私だって好きでそうしてる訳じゃないもん。
「星ノ魔法はそうでもないものね。」
ムッとした私に、すかさず雛がフォローを入れてくれた。
そうだよ、私がダメちゃんな訳じゃないもん。
「んじゃ、それまでどうするんだ?っていっても、俺は隠密行動が得意じゃないしな。」
悠希が呟く。
うんうん、何となく想像がつくよ。目立つのが好きそうだしね、悠希ってば。
「あら。考える事なら、たくさんあるわよ?」
雛は、何気に難しい事を言う。
悠希は─勿論、私も─頭脳派じゃないんだからね。
「俺、出番なしで良いや。」
「あ~…、私もパス。」
即座に拒否した悠希に続き、私も回避を選択する。
椅子の背凭れに全体重を預けるような悠希の態度を見て、私も雛が出したであろう椅子に腰掛けた。
テーブルの上には飲み物と軽食が並び、完全くつろぎモードである。
これで周囲にお花でも咲いてれば、良い花見が出来そうだ。
「ねぇ、雛。こういうの、いつ作ってるの?」
今更ながら、私は雛に問い掛ける。
休憩になると、当たり前のようにテーブルに並ぶ品々。
いったい、いつ作っているのだろう。
「いつって…、時間がある時によ?」
逆に不思議そうな表情で答えられてしまう。
私、そんなにおかしな質問をしたかな?
「美味いよな、雛乃の作るものはっ。俺もう、一人旅が出来なくなっちまうぜ。」
悠希は都合の良い事を言っている。
でも実際、私の調理スキルが上がらない原因でも…あったりなかったり。
まぁ、こう言っている私の方が、都合良すぎって話だよね。




