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初めて手を繋いだ日



ある日、メールが届いた。


『お母さん久しぶり。ご飯でも一緒にどう?』


娘からの短文。私は二つ返事で了承した。空いている日程を送り、そして今日、久しぶりに娘と会う日だ。



待ち合わせは駅。


「お母さん久しぶり!」



娘のあやねは、私にとっての孫であるさやちゃんと手を繋ぎ改札から走ってきた。


「おばあちゃん!」


私はその言葉に固まった。なんで…


「さやちゃん久しぶり!大きくなったね〜!」


さやちゃんは今年で6歳。この春、小学1年生になる。


「お母さん、まだ寒いから早くお店行こ!」


「ええ。」


目的地は駅近で、すぐに着いた。チェーン店では無いが、ファミレスのようにお子様ランチなどもあり娘なりに子供に配慮したのだろうと思った。食べたいものを頼んだ。


「お母さんとは6年ぶりじゃないけど、そのー……」


「……ああ、お父さんなら元気よ。最近なんて、毎朝散歩もしてるし、地域のゴミ拾いに参加してるのよ。ほんとに元気」


「そう、それなら良かった」


あやねは安堵したようだった。


私はたまに、まだ1歳、2歳の頃のさやちゃんのお世話をあやねに頼まれた事もある。お父さんは気付いていたでしょうが、「少し出かけるわね」と言っても何も言わず、送り出してくれていた。


あやねは、所謂、デキ婚というので、厳粛なお父さんは許さず猛反対をした。そして、お父さんはあやねに、この家の敷居を金輪際跨ぐことを許さんと、勘当した。


無論、お父さんは相手の男性には会うこと無く、挨拶は私だけにしてもらった。会ってみると、実際優しそうな人で今の時代、あまり良く思われないだろうけれど、デキ婚なんてよくある話だろうと思いつつ和気あいあいと話していたのを覚えている。


あやねがこんな事があって、あんな事もあってと、ニコニコ話しているのを見ると心が温かくなった。


おしゃべりなあやねにさやちゃんは慣れているようで、賢くお子様ランチを食べていた。


「あの……聞きたいことがあるんだけど」


「何?」


「……なんでさやちゃんは私がおばあちゃんだって知っているの?」


「あーー、それはね、お母さんの写真を何回も見せて、おばあちゃんだよって言ってたの。お母さんにはさやの小さい頃任せさせてもらってたけど、次会った時にはまだ小さいから忘れちゃってるだろうからそう言ってたの」


「その方がお母さん喜ぶかなって」



「そう……びっくりしたけど、嬉しかった」


「ならよかった!さや、ちゃんと覚えてる?おばあちゃんって何か」


「おばあちゃんっていうのはー、ママのママ!」


「正解〜!!!」


「さやちゃんお利口さんねぇ、あやねが話してる間にも自分でご飯食べてるし」


「あー、」


あやねは無意識だったようで、本当に久しぶりにあったのだからかなり積もる話があったのだろうし、仕方ない。私がさやちゃんの頭を撫でると、にこにこと笑っていて可愛かった。


「そういえば、お母さんがさやの頭を撫でたら泣き止んでたよね。懐かしい」


「そういえばそうだったわね、小さい頃お世話してたからかしら」


「ゴッドハンドだね〜」




食べ終わり近くの公園で遊ぶ話になり、まだ肌寒いので3人ともマフラーをしっかり巻き公園へ向かった。


「お母さんも」


なんだろうと思うと、あやねは手を差し出していて手を繋ごうという意味のようだった。


手を乗せると嬉しそうで、手を繋いでぶんぶんと振るものだから笑ってしまった。


手か……



あやねが生まれた時、隣に持って来てもらって初めて我が子と繋いだ手。公園や幼稚園へ行く時に歌を歌いながら繋いだ手。


あやねとさやちゃんの姿が、昔の私とあやねの姿と重なって感じた。


「お母さんの手はやっぱり温かいね」


「あやね、今、幸せ?」


「急にどうしたの?……うん!幸せだよ。ありがとうお母さん」

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