第42話 魔王城防衛戦 3
俺はすかさず後ろを向くと、腕を振りかぶるスカーレットの姿があった。
背後に瞬間移動したのか!?
まずい!!
パシッ!!
しかし、その瞬間スカーレットの腕は掴まれ攻撃を中断する。
サイさんがスカーレットの腕を掴んでいた。
「サ、サイさん」
「その少年は私の仲間なんでな。そう簡単には傷つけさせんぞ」
「雪女.....」
すると、サイさん掴んだスカーレットの腕がピキピキと凍り付いていく。
「くっ......」
しかしその瞬間、スカーレットはまた消えて、俺達から10mほど離れた位置に移動した。
「スカーレットの瞬身を初見で見切るとは、流石は魔王軍の第4魔将、雪女サイ」
それを見てオードも鎌を構える。
「魔王様が留守の間に魔王城も魔王軍の仲間も傷つけさせる訳にはいかないからな」
サイさんは敵の方を見る。
その目はいつもの優しいサイさんとはかけ離れた冷たい目をしていた。
「後一つ誤解しているようだが、私の種族は雪女ではなく」
サイさんの周りに無数の氷の塊が形作られていく。
「氷魔人だ!!」
その瞬間、氷の塊は鋭く尖り氷柱のように変形した。
「はあっ!!」
そう掛け声を上げるサイさん。
それと同時に無数の氷柱は分散し、オードとスカーレットの方に向かって飛んだ。
「おっと」
しかし、オードは素早い動きで避け、スカーレットは瞬間移動で避ける。
氷柱は地面に当たると、粉々に砕けた。
「まだまだ!」
サイさんの声に呼応するかのごとく、また空中に氷柱が出来た。
その氷柱を再び飛ばすサイさん。
「クソ!鬱陶しい!」
オードは鎌を構えると、飛んでくる氷柱にタイミングを合わせて振り回し、相殺した。
そして、そのまま鎌を奮い、カマイタチをサイさんに向かって飛ばした。
カマイタチはサイさんに向かって直進する。
ガキッ!!
その瞬間、またしても地面から氷の壁を出現させて、カマイタチを防いだ。
「ふん、それでは私には届かないな」
そう言いながらサイさんは後ろに向かって回し蹴りを放った。
そこには瞬間移動し、サイさんに攻撃を仕掛けようとしていたスカーレットの姿があった。
「なっ!」
スカーレットは攻撃を止めて、サイさんの蹴りを避けた。
「はあっ!!」
しかし、サイさんはそのまま回し蹴りした脚とは逆の脚で再び回し蹴りを放った。
「くっ!!」
スカーレットは咄嗟に両腕でガードしたが、その回し蹴りはスカーレットの腕に当たり、後ろに倒れた。
しかし、すぐに起き上がる。
「格闘術にも自信があってな。それに......」
サイさんはスカーレットを見る。
「貴様の技、瞬間移動してから次に瞬間移動出来るまで5秒ほどインターバルがあるな」
そう言い放つサイさん。
「......」
それに対して何も言い返さないスカーレット。
そうか!さっきのサイさんの蹴り、普通ならば瞬間移動で簡単に避けられるはずだ!
だが奴は瞬間移動しなかった、と言うか出来ないんだ!
っとなると‥‥
俺は剣を構え、スカーレットに向かって走り出した。
俺の役目はスカーレットを引き付けることだ。オード相手では俺は近付くことすら出来ないだろう。
「はあっ!」
俺はスカーレットに向かって剣を振るった。
しかし、バックステップで交わされる。
そして、そのまま回し蹴りを放つスカーレット。
その回し蹴りは俺の脇腹目掛けて飛んできたが、俺は間一髪腕で防いだ。
ドスッ!!
「っつ!!」
防いだ俺の右腕には激痛が走った。
急所ではなく腕で防いだのにこの威力か……なんて鍛え方してやがんだ。
「大丈夫かロイくん!」
心配して叫ぶサイさん。
「大丈夫です!スカーレットとか言うデカ女は何とか俺が押さえます!サイさんはオードを!」
俺はスカーレットを見て構える。
その俺の覚悟が伝わったのかサイさんは少し微笑みオードの方を向いた。
「任せたぞ、ロイくん」
「はい!」
俺は返事と共にスカーレットへ斬りかかる。
「はあ……」
スカーレットはため息を付いている。
「舐められたものね、君じゃ私に勝てない」
スカーレットは哀れむような目で俺を見た。
舐めやがって!端から勝つ気なんてねーよ!
俺はサイさんがオードを倒すまでなるべく時間を稼ぐ、その後何とかコイツを2対1で倒す。
それが俺の役目だ。
「うるせー!んなもんやってみねーとわかんないだろうが!!」
俺はまたスカーレットに向かい剣を振るった。
しかし、また軽く避けられる。
まだまだ!!
俺は左手のアンヘルで避けたスカーレットに向かって突きを放つ。
しかし、またしてもスカーレットはジャンプで避けた。
「クソッ!当たらねー!今度はもっと素早く……」
「違う、君、大振り過ぎる」
「へ?」
少し距離を取ったスカーレットがそう言った。
「双剣を使うならまず筋力が必要、だけど君には必要量の筋力が備わっていない」
「う、うるせーな、わかってるよ」
「まず剣を短く持つ、それに腕だけで振るんじゃなくてしっかり腰を入れて振る」
「こ、こう?」
俺は両手の剣を短く持ち、しっかり腰を入れて振るった。
「そう、まだまだ未熟だけどマシになった」
「そうか!ありがとう!」
俺は照れながら笑った。
が、すぐにハッとする。
「テ、テメー!敵のくせにアドバイスしてきやがって!何が目的だ!」
「何にも、ただ貴方が余りに杜撰な剣さばきだったから見かねて言っただけ」
無表情で言うスカーレット。
クソ!バカにしやがって......
そう思っていると、スカーレットは懐から短刀のような物を取り出した。
そしてその短刀を逆手持ちにした。
「まあいい、剣で勝負したいならやってあげる」
そう言いながらスカーレットはこちらに向かって走ってきた。
そのスピードは目で追いきれず、一瞬にして俺の前まで移動した。
「は、はえぇ!!」
この速さはカエデにも引けを取らない速さだ。
いや、恐らくカエデよりも速い。
スパッ!!
一瞬にして俺の懐に移動したスカーレットは短刀を振り、俺の右肩を斬った。
右肩の服は切れ、血が飛散する。
「ぐあっ!!」
俺は怯んだが、左腕を振るいスカーレットに斬りかかる。
しかし、スカーレットはバックステップで避けた。
スカーレットが離れたのを確認すると、俺は右肩を抑えた。
ヤられた......わかってはいたが全く動きが見えない。
右肩は浅い、右腕も動かせる。だが今の動きで懐に入られて胸を一突きされれば御陀仏だ。
俺は目を反らし、サイさんの方を見た。
サイさんはオードと戦っていた。流石はサイさん、善戦しているように見える。
だが、すぐに決着を付けられるぐらい弱い相手ではないようだ。そうなるとやはりコイツを援護に行かせる訳にはいかねぇ。
「よっしゃぁぁぁあああ!!」
俺は右手でディアブロをギュッと握った。大声を出して気合いを入れ直したのだ。
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